簿記1級合格者簿記1級を取得したけど、財務諸表論に挑戦しようか迷ってる。
というお悩みを解決していきます。



簿記1級まで取得したら、財務諸表論にも挑戦したくなりますよね。
合格証書が届きました!
— ぶんぶん@簿記1級ブログ運営 (@a3aByulmQvDRNSU) August 28, 2024
実は証書を見るまでは不安だったので、名前を確認できてホッとしました。
これに甘んずることなく、これまで以上に勉強に力を入れていこうと思います!!
PS.ポストに合格証書折って入れられていたのがショックでした。#日商簿記1級 pic.twitter.com/ePj5qdURbA
私は、日商簿記1級を取得しており、受験期間中に、某予備校にて、財務諸表論講座の受講もしております。
この記事では以下の悩みを解決します。
- 財務諸表論と日商簿記1級はどっちが難しいか
- 日商簿記1級と財務諸表論を取得するメリット
- 日商簿記1級に合格できたら財務諸表論を受験した方がいいのか






簿記1級を勉強していれば財務諸表論は簡単なのか
結論から言うと、簿記1級の勉強をしていても、財務諸表論にすぐには合格することはできません。
私は、某予備校の財務諸表論講座を申し込んだのですが、財務諸表論に関しては、日商簿記1級では学ぶことがなかった会計の歴史やフレームワークを学びました。
簿記1級は、計算問題が95%ほどで、ほとんど理論が出なかったのですが、財務諸表論は記述式の問題が多く出題されるため、難しく感じました。



日商簿記1級合格レベルの人でも、財務諸表論に合格するには、新しい知識を詰め込まなければなりません。
日商簿記1級と財務諸表論はどっちが難しいのか
この論争は昔からあるのですが、なかなか結論を出すことは難しいでしょう。
なぜなら、「財務諸表論が難しい」という人もいれば「簿記1級が難しい」という人もいるからです。
なので今回は、
- 出題範囲
- 合格率
- 試験回数
- 母集団レベル
- 問題の難易度
- 出題形式
の6点から見た難しさを徹底比較していきます。
出題範囲からの側面から見た難しさ
日商簿記1級の出題範囲は、財務諸表論の出題範囲よりも圧倒的に広いです。
簿記1級と財務諸表論の範囲を、それぞれ見ていきましょう。
簿記1級の出題範囲
日商簿記1級では、「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の4科目が出題範囲となります。
極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。
財務会計のみならず、経営管理、分析をするための管理会計の知識も必要です。
商業簿記・会計学の出題範囲は以下の通りです。
- 諸取引の処理
- 決算
- 株式会社会計
- 本支店会計
- 連結会計
- 会計基準および企業に関する法令等
簿記2級や3級では習わなかったキャッシュフロー計算書や、組織再編、連結会計の応用など、大企業で使われるような難しい論点の目白押しです。
工業簿記・原価計算の出題範囲は以下の通りです。
- 原価
- 原価計算
- 材料費計算
- 経費計算
- 製造間接費計算
- 部門費計算
- 個別原価計算
- 総合原価計算
- 標準原価計算
- 原価・営業量・利益関係の分析
- 原価予測
- 直接原価計算
- 営業費計算
- 差額原価収益分析
- 戦略の策定と遂行のための原価計算
簿記1級の工業簿記・原価計算は、業務執行的意思決定や、構造的意思決定などの、経営管理に関する論点が範囲に含まれています。
財務諸表論の出題範囲
財務諸表論の出題範囲は以下の通りです。
会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法中計算等に関する規定、会社計算規則(ただし、特定の事業を行う会社についての特例を除く。)、財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則
試験日程・試験科目について|国税庁
- 会計原理
- 企業会計原則
- 企業会計の諸基準
- 会社法中計算等に関する規定
- 会社計算規則(ただし、特定の事業を行う会社についての特例を除く。)
- 財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則
- 連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則
財務諸表論では、日商簿記1級でいう、「商業簿記」「会計学」から出題されます。
ただし、会計学に関しては、もう少し深堀して学んでいくことになります。
簿記1級と財務諸表論の出題範囲の違い
簿記1級の出題範囲は以下になります。
- 商業簿記
- 会計学
- 工業簿記
- 原価計算
これらの出題範囲の内、財務諸表論の出題範囲は、商業簿記と会計学の2つになり、簿記1級の会計学の知識を、さらに深堀しなければなりません。
しかし、日商簿記1級の原価計算では、CVP分析や投資の意思決定等などの論点が含まれ、これらの論点は、合格レベルに達すまでには相当な時間がかかります。
したがって、試験範囲の観点から見ると、日商簿記1級の方が圧倒的に難しいと言えるでしょう。




合格率から見た難しさ
簿記1級の合格率


日商簿記1級の合格率は、約10%になります。
受験者数は近年、減少傾向にあり、合格率も少し高くなってきています。
今までは合格率が10%を切る回もあったのですが、159回以降の試験では、10%を切ることはなくなりました。
財務諸表論の合格率
受験者数(人) | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
|---|---|---|---|
| 令和5年 | 13,260 | 3,726 | 28.1 |
| 令和4年 | 10,118 | 1,502 | 14.8 |
| 令和3年 | 9,198 | 2.196 | 23.9 |
| 令和2年 | 8,568 | 1,630 | 19.0 |
| 令和元年 | 9,268 | 1,753 | 18.9 |
近年の財務諸表論の合格率は約20%前後です。
ご覧の通り、日商簿記1級の方が、財務諸表論より合格率は高いのですが、一概に合格率だけで判断することはできません。
「母集団のレベル」や「試験の回数」についても考えていきましょう。
試験の回数からみた難しさ
まず、試験の回数については、
- 財務諸表論は年に1回
- 日商簿記1級は年に2回
あります。
挑戦できる回数が日商簿記1級の方が多いので、財務諸表論の方が大変な試験であることは言うまでもないでしょう。
半年に1回試験があるのと、1年に1回しか試験がないのとでは、本番の緊張感が全く違います。
母集団のレベルから見た難しさ
財務諸表論の母集団のレベル
財務諸表論には、令和4年度の受験まで、以下のような受験資格がありました。
学識による受験資格
- 大学又は短大の卒業者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した人
- 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した人
- 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した人
- 司法試験合格者
- 公認会計士試験の短答式試験に合格した人
資格による受験資格
- 日商簿記検定1級合格者
- 全経簿記検定上級合格者
職歴による受験資格
- 法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した人
- 銀行・信託会社・保険会社等において、資金の貸付・運用に関する事務に2年以上従事した人
- 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した人
財務諸表論の受験生のほとんどが、日商簿記1級を持っていることを考えると、財務諸表論の方が母集団のレベルが高いということになります。
しかし、令和4年度の税制改正により、令和5年度(第73回)の税理士試験から「簿記論」「財務諸表論」の受験資格が完全に撤廃され、誰でも受験できるようになりました。
日商簿記1級の母集団のレベル
日商簿記1級の受験生の中には、以下のような人たちが含まれます。
- 税理士受験生
- 公認会計士受験生
- 純粋な日商簿記1級受験生
簿記論と財務諸表論の受験資格に関しては、受験資格が撤廃されましたが、税法科目に関しては、受験資格は撤廃されていません。
つまり、学識や職歴による受験資格がない税理士受験生は、遅かれ早かれ、日商簿記1級か全経簿記上級の資格を取得しなければならないということです。
また、税理士受験生以外にも、三大難関国家資格と言われている公認会計士を受験する人たちも、日商簿記1級を受験します。
公認会計士受験生は、日商簿記1級受験生よりも、深くまで勉強しているので、いわゆる「難問」にも対応してきます。
ライバルのレベルが高いのは、日商簿記1級も同じです。



短答式試験の腕試しとして、予備校から、日商簿記1級受験を勧められるようです。
問題の難しさから見た難しさ
「問題の難しさ」に焦点を当ててみたいと思います。
結論から言うと、会計学に関しては、財務諸表論の方が圧倒的に難しいです。
財務諸表論の過去問を見て頂ければ分かるのですが、記述問題がかなり難しいです。
しかし、財務諸表論の計算問題の難易度はそこまで高くなく、日商簿記1級に合格した方なら、少し試験形式になれていけば、対応可能です。
対して、日商簿記1級は、どの科目も難易度が高く、会計学も財務諸表論ほど難しくはないものの、難易度は非常に高いです。
| 財務諸表論 | 日商簿記1級 | |
|---|---|---|
| 商業簿記 | 難しい | 難しい |
| 会計学 | 超難しい | 難しい |
| 工業簿記 | × | 難しい |
| 原価計算 | × | 難しい |
試験形式から見た難しさ
最後に、試験形式から見た両者の難しさを比較していきます。
結論から言うと、試験形式から見た両者の難しさに関しては、どちらとも言えません。
なぜなら、日商簿記1級と財務諸表論、それぞれに難しさがあるからです。
具体的に見ていきましょう。
財務諸表論の出題形式
財務諸表論は、第1問25点、第2問25点、第3問50点の合計100点満点の試験です。
- 第1問:理論問題(無形資産の会計処理と利益計算との関係についての問題)
- 第2問:理論問題(「企業会計原則」と「各個別会計基準」を比較し、記述する問題、「企業会計原則」と「各個別会計基準」の意味や概要に関する問題)
- 第3問は計算問題(会社法及び会社計算規則に関する問題)
が出題される傾向にあります。
試験時間は約120分で、問題の量も膨大なため、とても2時間で解き切れる量ではありません。
スピードが求められる試験なので、簿記1級よりも精神的に疲労します。
日商簿記1級の出題形式
日商簿記1級の試験では、
- 商業簿記・会計学:90分
- 工業簿記・原価計算:90分
の、合計180分の試験になります。
商業簿記・会計学の試験が終わったら、15分の休憩を挟み、工業簿記・原価計算の試験が行われます。
配点としては商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算それぞれ25点満点で、どれか1つ10点をきったらその時点で不合格です。
この、足切りがあることが、日商簿記1級の難易度を押し上げている要因となります。
簿記論、日商簿記1級の試験形式を見ていきましたが、
- 試験時間は日商簿記1級が長い
- 財務諸表論は2時間ぶっ続けなので精神的にキツイ
- スピードが求められるのは財務諸表論
- 日商簿記1級は、足切り制度があるので、その分、難易度が高い
と、それぞれ難しさのポイントがあるため、どちらが難しいとは判断できません。
総合的に見て簿記1級と財務諸表論のどちらが難しいのか
日商簿記1級と財務諸表論どちらも受験された方に質問です。
— ぶんぶん@簿記1級ブログ運営 (@a3aByulmQvDRNSU) February 23, 2025
日商簿記1級と財務諸表論のどちらが難しかったですか?
回答期間3日間です。
よろしくお願いいたします。#簿記1級 #財務諸表論 #税理士
日商簿記1級と財務諸表論はどちらが難しかったか、アンケートした結果、「日商簿記1級が難しかった」という方が多かったです。
ネットで調べていても、「日商簿記1級が難しい」という声が多く、「財務諸表論が難しかった」ちという方は見かけませんでした。
ただ、アンケートを見て分かる通り、「財務諸表論が難しかった」という声もあるので、一概にどちらが難しいというのは断言はできません。
結局、簿記1級合格者は財務諸表を受験した方がいいのか?
結論から言うと、税理士を目指していないのであれば、財務諸表論は受験する必要はありません。
正直、簿記1級を持っていれば、能力が高いことの証明にはなるので、財務諸表論を併用して持っていたからといって、就活などで有利になることは殆どないと思われます。
知名度でいえば、税理士の財務諸表論より、日商簿記1級の方が多く知られていますし、一般企業で働くつもりの方は、日商簿記1級を持っていれば十分でしょう。
簿記1級だけでも、ポテンシャルを高く評価してもらえます。
ただし、
- 簿記の知識をもっと知りたい
- 簿記の講師を目指している
という方には、財務諸表論の勉強をすることをお勧めします。
財務諸表論の知識は、簿記の理解をさらに深めてくれるからです。
簿記講師として働くなら、簿記1級×財務諸表論は強い
ただ、日商簿記1級と、税理士の簿記論と財務諸表論を持っていると、講師として食いっぱぐれることはありません。
日商簿記1級と税理士の会計科目を両方持っている講師は、なかなかいないので、差別化ができるでしょう。
もし、講師としての道をお考えなら、財務諸表論の勉強をしてみてはいかがでしょ
最後に
今回は、財務諸表論と日商簿記1級を比較してみました。
結論としては、以下になります。
- 日商簿記1級合格者は、税理士にならないなら財務諸表論は受けなくてもいい
- 簿記が好きなら知識としてと財務諸表論を勉強するのはアリ
- 講師として働くなら、財務諸表論を取得した方がいい
- 総合的に見て簿記1級が難しい
この記事を見て、簿記1級取得後に、財務諸表論を受けた方がいいか検討されてみてください。
最後までご覧いただきありがとうございます!














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