簿記2級合格者簿記2級に合格したけど、税理士と簿記1級どちらを取ろう?



簿記2級に合格したけど、他の資格にもチャレンジした方がいいかな。
そんな疑問を解決していきたいと思います。



簿記2級に合格すれば、税理士や簿記1級の存在がちらつきますよね。
この記事では、
- 税理士と簿記の難易度の違い
- 簿記1級や税理士、それぞれの合格率、メリット
- 簿記1級や税理士ではなく、他の資格を目指した方がいいのか?
などについて詳しく説明していきます!






税理士とは
税理士とは、税務に関する専門家のことで、国家資格の一つです。
事業を行なっている方や、財産を持っている方々には、守らなければいけない税金に関する法律があります。
- 税額の計算方法
- 申告期限
- 納期限
などの定めがたくさんあります。
それら法律の「専門家」が税理士ということになります。
日商簿記1級とは
日商簿記1級は、簿記の最高峰と言われています。
商工会議所は、簿記1級のレベルを以下のように言っています。
極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。
以上の文言からも、相当難しいことが分かります。
日商簿記1級を取得すれば、税理士の受験資格を与えられるため、公認会計士や税理士の登竜門と言われています。
日商簿記2級に合格したら、税理士?日商簿記1級?
結論から言うと、一般企業に勤めるなら日商簿記1級、税理士として独立開業をしたいのなら税理士試験を受けましょう。
ただし、税理士試験を目指すのなら、相当な覚悟が必要です。
税理士試験は、甘い世界ではなく、早い人で4年、遅い人では10年以上かけて取得する人もいます。
税理士受験生はみんな、人生をかけて勉強しているのです。
日商簿記1級も、税理士や会計士受験生など、人生をかけて勉強をしている人たちと戦わなければならないので、一筋縄ではいきません。
税理士試験と簿記の関係性
税理士試験の簿記論と財務諸表論の勉強には、簿記の知識は必須です。
税理士受験生の多くは、すでに日商簿記2級を取得しており、簿記の基礎知識は持っています。
選択科目の、
- 所得税
- 法人税
- 事業税
- 消費税
についても、簿記の前提知識が求められるため、「税理士に簿記の知識は必須」であると言えるでしょう。
しかし、試験の難易度や出題形態は全く異なりますので、注意が必要です。
税理士には、どのくらい簿記の知識が求められるの?
結論から言うと、税理士の簿記論と財務諸表論は、日商簿記1級の商業簿記と会計学以上のレベル感です。
税理士の簿記論と財務諸表論の過去問を見ると、日商簿記1級以上に、難問奇問がよく出題されます。



「じゃあ、日商簿記1級を取得してから、税理士に挑戦した方がいいの?」という疑問が湧いてくると思いますが、そんなことはありません。
日商簿記1級には、税理士試験にはない「原価計算」という科目があり、合格レベルまで極めるのに多大な時間を要します。
そのため、日商簿記2級に合格してから税理士試験対策の勉強を始めるという方が大多数です。
ただし、税理士は以下のような受験資格があるため、大学に行っていない方や、金融業に勤めていない方は、税理士の受験資格となる日商簿記1級を取得する必要があります。
学識による受験資格
- 大学又は短大の卒業者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した人
- 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した人
- 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した人
- 司法試験合格者
- 公認会計士試験の短答式試験に合格した人
資格による受験資格
- 日商簿記検定1級合格者
- 全経簿記検定上級合格者
職歴による受験資格
- 法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した人
- 銀行・信託会社・保険会社等において、資金の貸付・運用に関する事務に2年以上従事した人
- 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した人
税理士試験と日商簿記1級試験の違い
税理士試験と日商簿記1級の違いは、
- 受験資格の有無
- 試験の科目数
- 問題の量
などが、挙げられます。
受験資格の有無
上述した通り、税理士試験には「学識」「資格」「職歴」による受験資格があります。
一方で、簿記1級試験には受験資格はなく、誰でも受験することが可能です。
受験資格があるのとないのとでは、母集団のレベルが変わってくるので、単純に合格率だけで難易度を判断することはできません。
科目数の違い
税理士試験は簿記だけでなく、税法の試験5科目に合格しなければならないため、総合的に見ると、圧倒的に税理士の方が難しいと言えます。
税理士の科目1つ1つの合格率を見てみると、簿記1級並みの合格率です。
税理士試験では、そんな難しい科目を5つも取らなくてはならないで、かなり大変です。
問題の量が違う
日商簿記1級と税理士試験の、もう一つの違いは、問題の量です。
簿記1級は、時間内に解くことが可能ですが、税理士の試験問題は、とても2時間で解き切ることは難しい問題量となっております。
そのため、日商簿記1級よりも、「取捨選択」が大事になってくる試験と言えます。




試験内容に関する比較
税理士試験の試験範囲
税理士試験は、合格ライン 60点以上で合格の相対評価の試験です。
試験科目は、
- 必須科目(簿記論財と務諸表論)
- 選択必須科目(所得税法または、法人税法)
- 選択科目(その他税法)
の合計11科目の中から5科目を選びます。
必須科目:会計学に属する科目
- 簿記論
- 財務諸表論
選択必須科目(どちらか一つ選択):税法に属する科目
- 所得税法
- 法人税法
選択科目:税法に属する科目
- 相続税法
- 消費税法又
- 酒税法
- 国税徴収法
- 住民税又
- 事業税
- 固定資産税
以上の11科目の中から、5科目を選択し、すべて合格しなければなりません。
日商簿記1級の試験範囲
日商簿記1級の科目は、以下の4つです。
- 商業簿記
- 会計学
- 工業簿記
- 原価計算
税理士試験は5科目、日商簿記1級は4科目ですが、問題のボリュームはまるで違います。
税理士は専門家ということもあり、会計に関しても、税法に関しても深く学びます。
難易度に関する比較
日商簿記1級の難易度


日商簿記1級は、合格率は約10%で推移しております。
最近では16.8%や15.1%などの高い合格率になっておりますが、これは税理士法人をはじめとする「税理士不足」が関係しているのではないかという噂もあります。
税理士試験の難易度


一見、合格率だけ見ると、税理士の方が簡単そうに見えますが、合格率だけでは測れません。
税理士試験には、
- 受験資格がある
- 科目が多い
- 母集団のレベルが高い
など、日商簿記1級よりも受かりにくいポイントがあります。
試験の問題量を見ても、税理士試験の方が圧倒的に多く、基本的には時間内に解けません。
勉強時間を取っても、税理士は3000時間、簿記1級は約1000時間と3倍もの差があります。
税理士の方が難易度が高いと一般的には考えられています。
効率的な学習をするには
税理士試験と簿記1級試験では出題範囲が約9割重なりますが、 簿記1級を取得してから税理士試験の対策に移行することは、かえって遠回りになります。
なぜなら、日商簿記1級には「原価計算」という科目があり、合格レベルに到達するまでに、かなりの時間を要するからです。
日商簿記2級に合格したら、すぐにでも税理士試験に移行した方がベターでしょう。
ただ、税法を受けるための受験資格がない方は、日商簿記1級や全経簿記上級の受験をする必要があるので注意が必要です。
社会人のように忙しい方は、通勤時間のすき間時間などのちょっとした時間を使って 効率的に勉強し、何度もインプットとアウトプットを繰り返して身に着けていきましょう。
一気に何科目も受験するのではなく、1科目ずつ合格していく戦略もおすすめです。
時間を上手に活用し、効率良く勉強していきましょう。
簿記と税理士の取得メリットについて
日商簿記1級のメリット
日商簿記1級は、税理士のように「独占業務」がないのですが、メリットもあります。
主に以下の4つです。
- 就職や転職に有利
- 昇進に繋がり、年収UP
- 投資やビジネスに活きる
就職や転職に有利
簿記1級を保有していると、就職や転職に有利です。
簿記の資格は、職種や地位に関わらず、企業で評価されています。
昇進に繋がり、年収UP
日商簿記1級取ったら、有能に見られます。
— ぶんぶん@簿記1級ブログ運営 (@a3aByulmQvDRNSU) September 3, 2024
めちゃくちゃ覚え悪いし、たくさんミスるしで、むしろ無能な方なのに「覚えが良い」と評価される。
日商簿記1級取得前の私の評価はダメダメで、いつもボーッとしてる絵に書いたような『ザ・ポンコツ』キャラでした。
肩書きの力恐るべしです。#日商簿記1級
簿記1級を保有していると、長く勤めてもらうためにも簿記資格所有者に資格手当を出している企業も多いです。
また、簿記1級の知識を有していると、昇進する可能性が高くなります。
投資やビジネスの役に立つ
日商簿記1級を取得してから会計がさらに好きになりました。
— ぶんぶん@簿記1級ブログ運営 (@a3aByulmQvDRNSU) February 2, 2025
最近では毎日財務諸表分析をして個別株投資も始めた。
簿記3級で4回も不合格になり簿記に苦手意識がある時期もありました。
途中で諦めていたら、きっと苦手なままだったと思います。
「諦めなくてよかった」と心からそう思います。#簿記1級
簿記1級に合格できれば、自分が経営した際にも、経理状況が一目で分かるので、経営強化や改善に生かすことができます。
企画の立案や事業の見直しの際に、事業の状況を分析することができるようになるため、数字をベースにした説得力のある提案することもできます。
税理士のメリット
税理士は将来性が高く、資格の取得後は安定した仕事があります。
高収入も望め、働き方も選ぶこともできます。
ここからは、取得することで得られる、3つのメリットを見ていきましょう。
- 働き方の選択肢が増える
- 開業することで、収入UPに繋がる
- 就職や転職で有利になる
働き方の選択肢が増える
税理士資格を得ることで、
- 税理士事務所
- 会計事務所
- 監査法人
- 一般企業の税務部門
- 独立開業
など、ライフスタイルに合わせた様々な働き方の選択肢が増えます。
税理士には、自由な働き方を選べるのも魅力の1つです。
開業することで、収入UPに繋がる
税理士資格には独占業務があるため、資格取得によって収入アップしやすいです。
商品やサービスを売買する、企業や個人事業主には、必ず税金が関係してくるため、税理士の仕事はなくなることはありません。
また、今後AIが活用されたとしても、税金に関するアドバイザーとして活躍することはできます。
就職や転職で有利になる
近年、税理士が不足しており、金融機関を中心に、税理士を積極的に雇用しているため、売り手市場と言えるでしょう。
税理士にしか行えない独占業務があるため、就職活動や転職する際に税理士資格を持っていることは未経験であっても武器になりやすいです。
他の資格を取得するのもアリ
税理士や日商簿記1級は、難関資格と言われるほどレベルの高い資格です。
そのため、生半可な覚悟では合格することは難しいでしょう。
「自分は、難関資格に挑戦するほどの覚悟はない」という方は、簿記2級合格後に、他の資格に挑戦するのもアリです。
- マイクロオフィススペシャリスト(MOS)
- ファイナンシャル・プランナー(FP)
- 宅地建物取引士(宅建)
- ITパスポート
最後に
いかがでしたでしょうか?
簿記2級を取得した後、「税理士」「日商簿記1級」「他の資格を取る」など、いろいろな選択肢があります。
ただ、税理士や日商簿記1級は難易度が高いため、相当な覚悟が必要です。
もし、あなたに覚悟があるなら、税理士や日商簿記1級に挑戦してみてはいかがでしょうか?
あなたの税理士試験、日商簿記1級、その他の資格の合格を心から願っております。
最後までご覧いただきありがとうございます。














コメント