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【日商簿記1級合格後は簿記論を受けた方がいい?】日商簿記1級と簿記論は、どちらが難しいのか?

簿記1級合格者

簿記1級を取得したけど、簿記論に挑戦しようか迷ってる。

というお悩みを解決していきます。

ぶんぶん

簿記1級まで取得したら、簿記論にも挑戦したくなりますよね。

私は、日商簿記1級を取得しており、受験期間中に、某予備校にて、簿記論講座の受講もしております。

この記事では以下の悩みを解決します。

  • 簿記論と日商簿記1級はどっちが難しいか
  • 日商簿記1級と簿記論を取得するメリット
  • 日商簿記1級に合格できたら簿記論を受験した方がいいのか

この記事を見れば、日商簿記1級合格後に簿記論を受けた方がいいのか、どちらが難しいのか分かります。

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目次

簿記1級を勉強していれば簿記論は簡単なのか

誤解を恐れずに言うと、簿記1級の勉強をしていれば、簿記論の内容は理解することは容易です。

私も、某予備校の簿記論講座を申し込んだのですが、ほとんどが知っている内容ばかりだったため、インプット講義は殆ど聞かずに、自力で問題集を解いていました。

実力テストも初見で9割の点数を取れるくらいだったので、簿記1級合格者なら、すぐに簿記論に合格することは可能でしょう。

ぶんぶん

ただ、簿記論は沼にハマったら、なかなか合格できない科目と言われているので、気を引き締めて挑戦しないといけません。

日商簿記1級と簿記論どっちが難しいのか

この論争は昔からあるのですが、なかなか結論を出すことは難しいでしょう。

なぜなら、「簿記論が難しい」という人もいれば「簿記1級が難しい」という人もいるからです。

なので今回は、

  • 出題範囲
  • 合格率
  • 試験回数
  • 母集団レベル
  • 問題の難易度
  • 出題形式

の6点から見た難しさを徹底比較していきます。

出題範囲からの側面から見た難しさ

日商簿記1級の出題範囲は、簿記論の出題範囲よりも圧倒的に広いです。

簿記1級と簿記論の範囲を、それぞれ見ていきましょう。

簿記1級の出題範囲

日商簿記1級では、「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の4科目が出題範囲となります。

極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。

簿記 1級 | 商工会議所の検定試験

財務会計のみならず、経営管理、分析をするための管理会計の知識も必要です。

商業簿記・会計学の出題範囲は以下の通りです。

  1. 諸取引の処理
  2. 決算
  3. 株式会社会計
  4. 本支店会計
  5. 連結会計
  6. 会計基準および企業に関する法令等

簿記2級や3級では習わなかったキャッシュフロー計算書や、組織再編、連結会計の応用など、大企業で使われるような難しい論点の目白押しです。

工業簿記・原価計算の出題範囲は以下の通りです。

  1. 原価
  2. 原価計算
  3. 材料費計算
  4. 経費計算
  5. 製造間接費計算
  6. 部門費計算
  7. 個別原価計算
  8. 総合原価計算
  9. 標準原価計算
  10. 原価・営業量・利益関係の分析
  11. 原価予測
  12. 直接原価計算
  13. 営業費計算
  14. 差額原価収益分析
  15. 戦略の策定と遂行のための原価計算

簿記1級の工業簿記・原価計算は、業務執行的意思決定や、構造的意思決定などの、経営管理に関する論点が範囲に含まれています。

3級や2級にはなかった、「機械原価」という概念も出てくるため、苦手とする受験生も多いです。

簿記論の出題範囲

対して簿記論は、原価計算が範囲から除かれます。

複式簿記の原理、その記帳・計算及び帳簿組織、商業簿記のほか工業簿記を含む。ただし、原価計算を除く。

試験日程・試験科目について|国税庁

キャッシュフロー計算書や、組織再編、連結会計も出題されますが、頻出論点ではありません。

商業簿記がメインとなり、その処理方法も、中小企業で使われるような知識で試験範囲が作られています。

簿記1級と簿記論の出題範囲の違い

簿記1級の出題範囲は以下になります。

  • 商業簿記
  • 会計学
  • 工業簿記
  • 原価計算

これらの出題範囲の内、簿記論の出題範囲は、商業簿記と工業簿記の2つになります。

ただ、工業簿記といっても、簿記論の工業簿記は、商的工業簿記(いわゆる丼勘定)のみで、簿記1級のような複雑な計算問題などは出題されません。

それに対して、日商簿記1級の原価計算では、CVP分析や投資の意思決定等などの論点が含まれ、これらの論点は、合格レベルに達すまでには相当な時間がかかります。

したがって、試験範囲の観点から見ると、日商簿記1級の方が圧倒的に難しいと言えるでしょう。

合格率から見た難しさ

簿記論の合格率は約20%であり、日商簿記1級の合格率は10%ですので、単純に合格率だけ見ると、日商簿記1級の方が難しいといえるでしょう。

簿記1級と簿記論の回ごとの合格率を、それぞれ見ていきましょう。

簿記1級の合格率

https://www.ke日本商工会議所HPより抜粋

日商簿記1級の合格率は、約10%になります。

受験者数は近年、減少傾向にあり、合格率も少し高くなってきています。

今までは合格率が10%を切る回もあったのですが、159回以降の試験では、10%を切ることはなくなりました。

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簿記論の合格率

年数受験者数合格者数合格率
令和5年度32,893人6,525人21.7%
令和4年度12,888人2,965人23.0%
令和3年度11,166人1,841人16.5%
令和2年度10,757人2,429人22.6%
令和元年29,779人5,381人18.06%
平成30年11,941人1,770人14.8%
令和4年度(第72回)税理士試験結果|国税庁

近年の簿記論の合格率は約20%です。

ご覧の通り、日商簿記1級の方が、簿記論より合格率は高いのですが、一概に合格率だけで判断することはできません。

「母集団のレベル」や「試験の回数」についても考えていきましょう。

試験の回数からみた難しさ

まず、試験の回数については、

  • 簿記論は年に1回
  • 日商簿記1級は年に2回

あります。

つまり、挑戦できる回数が日商簿記1級の方が多いので、簿記論の方が大変な試験であることは言うまでもないでしょう。

半年に1回試験があるのと、1年に1回しか試験がないのとでは、本番の緊張感が全く違います。

母集団のレベルから見た難しさ

簿記論の母集団のレベル

簿記論には、令和4年度の受験まで、以下のような受験資格がありました。

学識による受験資格

  • 大学又は短大の卒業者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した人
  • 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した人
  • 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した人
  • 司法試験合格者
  • 公認会計士試験の短答式試験に合格した人

資格による受験資格

  • 日商簿記検定1級合格者
  • 全経簿記検定上級合格者

職歴による受験資格

  • 法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した人
  • 銀行・信託会社・保険会社等において、資金の貸付・運用に関する事務に2年以上従事した人
  • 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した人

引用元:税理士試験受験資格の概要|国税庁

簿記論の受験生のほとんどが、日商簿記1級を持っていることを考えると、簿記論の方が母集団のレベルが高いということになります。

しかし、令和4年度の税制改正により、令和5年度(第73回)の税理士試験から「簿記論」「財務諸表論」の受験資格が完全に撤廃され、誰でも受験できるようになりました。

したがって、簿記論の4年度以降の試験では、母集団のレベルは下がっていくかと思われます。

これをきっかけに、令和5年度の簿記論受験者数は2倍以上に跳ね上がったのですが、合格率は20%前後と、大きく変わることはありませんでした。

日商簿記1級の母集団のレベル

日商簿記1級の受験生の中には、以下のような人たちが含まれます。

  • 税理士受験生
  • 公認会計士受験生
  • 純粋な日商簿記1級受験生

簿記論と財務諸表論の受験資格に関しては、受験資格が撤廃されましたが、税法科目に関しては、受験資格は撤廃されていません。

つまり、学識や職歴による受験資格がない税理士受験生は、遅かれ早かれ、日商簿記1級か全経簿記上級の資格を取得しなければならないので、税法科目の受験資格を得るために、日商簿記1級を受験することになります。

また、税理士受験生以外にも、三大難関国家資格と言われている公認会計士を受験する人たちも、日商簿記1級を受験します。

短答式試験の腕試しとして、予備校から、日商簿記1級受験を勧められるようです。

公認会計士受験生は、日商簿記1級受験生よりも、深くまで勉強しているので、いわゆる「難問」にも対応してきます。

ぶんぶん

公認会計士受験生は、本当にレベルが高いです。

問題の難しさから見た難しさ

最後に、「問題の難しさ」に焦点を当ててみたいと思います。

結論から言うと、商業簿記に関しては、簿記論の方が圧倒的に難しいです。

簿記論の過去問を見て頂ければ分かるのですが、難問だらけです。

しかし、上述した通り、税理士試験の「工業簿記」に関する問題は、どれも「製造原価報告書」の作成ぐらいであり、難易度はそこまで高くありません。

対して、日商簿記1級は、どの科目も難易度が高く、商業簿記も簿記論ほど難しくはないものの、難易度は非常に高いです。

簿記論日商簿記1級
商業簿記超難しい難しい
会計学×難しい
工業簿記易しい難しい
原価計算×難しい

試験形式から見た難しさ

最後に、試験形式から見た両者の難しさを比較していきます。

結論から言うと、試験形式から見た両者の難しさに関しては、どちらとも言えません。

なぜなら、日商簿記1級と簿記論、それぞれに難しさがあるからです。

具体的に見ていきましょう。

簿記論の出題形式

簿記論は、第1問25点、第2問25点、第3問50点の合計100点満点の試験であり、全て計算問題です。

  • 第1問、第2問では、簿記についての基本的な理解を問う個別問題
  • 第3問では、決算整理を行う総合問題

が出題される傾向にあります。

試験時間は約120分で、問題の量も膨大なため、とても2時間で解き切れる量ではありません。

スピードが求められる試験なので、簿記1級よりも精神的に疲労します。

問題の取捨選択をすることが大事になってくるので、簿記論特有の対策をする必要があります。

日商簿記1級の出題形式

日商簿記1級の試験では、

  • 商業簿記・会計学:90分
  • 工業簿記・原価計算:90分

の、合計180分の試験になります。

商業簿記・会計学の試験が終わったら、15分の休憩を挟み、工業簿記・原価計算の試験が行われます。

配点としては商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算それぞれ25点満点で、どれか1つ10点(40%)をきったらその時点で不合格です。

この、足切りがあることが、日商簿記1級の難易度を押し上げている要因となります。

簿記論、日商簿記1級の試験形式を見ていきましたが、

  • 試験時間は日商簿記1級が長い
  • 簿記論は2時間ぶっ続けなので精神的にキツイ
  • スピードが求められるのは簿記論
  • 日商簿記1級は、足切り制度があるので、その分、難易度が高い

と、それぞれ難しさのポイントがあるため、どちらが難しいとは判断できません。

総合的に見て簿記1級と簿記論のどちらが難しいのか

日商簿記1級と簿記論はどちらが難しかったか、アンケートした結果、「日商簿記1級が難しかった」とう方が多かったです。

ネットで調べていても、「日商簿記1級が難しい」という声が多く、「簿記論が難しかった」ちという方は見かけませんでした。

ただ、アンケートを見て分かる通り、「簿記論が難しかった」という声もあるので、一概にどちらが難しいというのは断言はできません。

結局、簿記1級合格者は簿記論は受験した方がいいのか?

結論から言うと、税理士を目指していないのであれば、簿記論は受験する必要はありません。

正直、簿記1級を持っていれば、能力が高いことの証明にはなるので、簿記論を併用して持っていたからといって、就活などで有利になることは殆どないと思われます。

知名度でいえば、税理士の簿記論より、日商簿記1級の方が多く知られていますし、一般企業で働くつもりの方は、日商簿記1級を持っていれば十分でしょう。

簿記1級だけでも、ポテンシャルを高く評価してもらえます。

簿記講師として働くなら、簿記1級×簿記論は強い

ただ、日商簿記1級と、税理士の簿記論と財務諸表論を持っていると、講師として食いっぱぐれることはありません。

日商簿記1級と税理士の会計科目を両方持っている講師は、なかなかいないので、差別化ができるでしょう。

もし、講師としての道をお考えなら、簿記論の勉強をしてみてはいかがでしょ

最後に

今回は、簿記論と日商簿記1級を比較してみました。

結論としては、以下になります。

  • 日商簿記1級合格者は、税理士にならないなら簿記論は受けなくてもいい
  • 総合的に見て簿記1級が難しい
  • 講師として働くなら、簿記論と日商簿記1級を持っていたら食いっぱぐれない

最後までご覧いただきありがとうございます。

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この記事を書いた人

低偏差値高校卒業し、社会に出て『発達障害』と診断される。
人生逆転させるため心機一転、日商簿記検定に挑戦するが、簿記3級に4回落ちて絶望。
諦めず挑戦した結果、簿記の最高峰の『日商簿記1級』と『全経簿記上級』に合格する。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • コメント失礼致します。
    Kindleで書籍を拝読し、こちらのブログを知りました。
    現在資格専門学校のWEB通信講座で簿記論を受講しているのですが、簿記1級の取得も検討しています。
    ぶんぶんさんは簿記1級の勉強をされているときに簿記論の講座も受講されていたとのことですが、簿記論の講座は簿記1級の学習に役立ちましたでしょうか。
    簿記1級の取得に向けて、別途講座を受講した方がいいか迷っています。

    • ねこまるこ様
      コメントありがとうございます。
      返信遅くなり申し訳ございません。
      結論から言うと、商業簿記の理解はかなり深まったと感じます。
      簿記一巡の手続きや商品売買などの基本的な論点の確認もできましたし、いつもと違う角度からの問題を解けて新鮮でした。
      しかし、両者試験形式がまったく違うので、簿記論のために簿記1級を勉強するのは少し遠回りになるかと思います。
      なんせ、簿記1級の工業簿記・原価計算は、かなり難しいので…。
      ただ、税理士をゴールにしているのではなく、自己啓発目的で簿記論を勉強されているのであれば、相乗効果も期待できる簿記1級を目指す価値はあるかと思います。
      少しでも参考になれば幸いです。

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