簿記1級の勉強で「受かる気がしない」と感じるのは、あなたに向いていないからではなく、多くの受験生が通る段階です。とくに、講義を見終えて初めて過去問を解いたとき、不合格の通知を受けたとき、本番で手応えがなかった直後の3つの時期に、この気持ちは強くなります。大事なのは、気持ちを無理に上げることではなく、その時期に合った「次の一手」を決めることです。
私は初めて1級の過去問を解いたとき、4科目すべて解いて2〜3問合っていれば上出来、という状態でした。そこから1回目28点、2回目55点、3回目68点と落ち続け、4回目の第167回で70点で合格しています。この記事では、挫折しそうになった時期ごとに、私が何をして立て直したかを書きます。
「受かる気がしない」と感じるのは自然なこと
日本商工会議所が公開している受験者データを見ると、1級の合格率は直近の第173回(2026年6月)で21.2%、第171回で15.2%、第170回で14.0%、第168回で15.1%です。私が合格した第167回は10.5%でした。実際に受けた人の8〜9割が不合格になる回が続いている試験です。
しかも1級は、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目すべてで40%以上を取り、合計で70%以上を取る必要があります。範囲が広く、どの科目も捨てられません。勉強を進めても「全部が仕上がった」と感じる瞬間が来にくいので、受かる気がしないのは、ある意味で当然です。
ですから、「受かる気がしない」という感覚そのものは、合否の予報にはなりません。私は4回目の本番後に不合格を確信して受験票を捨てましたが、結果は合格でした。
挫折しそうになりやすい3つの時期
私の場合、心が折れかけたのは次の3つの時期でした。時期によって原因が違うので、立て直し方も変わります。
- 時期1:講義を見終えて、初めて過去問を解いたとき(テキストと本試験の差に驚く)
- 時期2:不合格の点数を見たとき(とくに、手応えがあった回)
- 時期3:本番で崩れた直後から合格発表まで(勉強に身が入らない)
時期1:過去問がまったく解けないとき
私は通信講座の講義を一通り見終え、内容は理解できていたつもりでした。ところが過去問に取りかかると、テキストや問題集との隔たりが大きすぎて、本当に挫折しそうになりました。問題文が長くて読み取れない、管理会計の計算で手が止まる、という壁にもぶつかっています。
解答の下書きを写すところから始める
このとき私がやったのは、解答・解説の下書きを、そのまま自分の手で写すことでした。地道な作業ですが、「どの資料をどの順で使って、どこに数字を書くのか」が手に入ってきます。これを繰り返して、「まったく分からない」状態を抜けました。
「講義は分かるのに過去問が解けない」のは、理解が浅いからではなく、理解から「自力で解ける」までに段階があるからです。この段階の考え方は簿記で「分かったのに解けない」のはなぜ?理解の4段階に、過去問が解けないときの原因の切り分けは簿記1級の過去問が解けないときの5つの原因と対処法にまとめています。
時期2:不合格の点数を見たとき
1回目は8か月ほどかけて過去問を何回転もしたのに、28点でした。3回目の第165回は、得意な論点が出て「今回は行ける」と思えた回でしたが、68点で、合格まで2点足りませんでした。この2点が、いちばん精神的に辛かったです。
点数の「推移」を見る
落ちた直後は、その回の点数だけが目に入ります。でも並べてみると、私の点数は28点→55点→68点と、毎回上がっていました。1回の点数ではなく推移を見ると、「やってきたことは積み上がっている」と確かめられます。
次に足りないものを1つ書き出す
4回目の前には、これまでの勉強時間と演習量はもう十分だと考え、「合格までに足りないものは何か」を書き出しました。私の場合は、ケアレスミス対策、本番で力を出し切る準備、初めて見る問題への応用力の3つでした。原因と対策の詳しい整理は簿記1級に受からないと悩む人へに書いています。
時期3:本番で崩れた直後から合格発表まで
第167回の本番では、工業簿記の資料の多さに頭が真っ白になり、原価計算でも途中の数字を出せずに後ろの答えまで芋づる式に間違えました。その日は何もやる気が起きず、一日中ぼーっとしていました。次の日から勉強は再開しましたが、発表までは正直、身が入りませんでした。
この時期は、無理に気持ちを立て直さなくていいと思います。私が続けられたのは、モチベーションではなく、決まった時間に机に向かう習慣が残っていたからです。気分が乗らない日は、量を減らしてでも、いつもの時間にいつもの場所で問題を開く。それだけで、発表後にどちらの結果でもすぐ動けます。
挫折しかけたときに効いた立て直し方
3つの時期を通して、私に効いたことをまとめます。
勉強のやり方を「量」から「本番の再現」に変える
4回目は、使える時間が1日3時間ほどに減りました。そこで、がむしゃらに量をこなすのをやめ、次のように変えました。
- なるべく本試験と同じ時間帯に問題を解く
- 必ず時間を計って解く
- 答え合わせのときに、似た問題と見比べて解き方のパターンを確かめる
- 間違えた理由を言葉にして、同じ論点が出たら独り言で説明しながら解く
- 無理のない範囲で続ける
寄り道をして、気分を変える
同じ問題集を繰り返すことに飽きたとき、私は全経簿記上級を受けたり、税理士の簿記論・財務諸表論の通信講座に申し込んだりしました。表現の違う問題を解くと、新鮮さがあり、応用力もつきます。全経簿記上級に合格できたことは、日商1級を続ける大きな支えになりました。
合格した後にやりたいことを決めておく
私は「企業分析をしたい」「会計の本をたくさん読みたい」と、合格後の楽しみを決めていました。勉強を始めたきっかけを思い出すことも、続ける理由になりました。
独学で行き詰まったら、人の目を借りる選択肢もある
「受かる気がしない」状態が長く続くときは、気持ちの問題というより、どこでつまずいているかが自分では見えにくいことが原因の場合があります。私も、何が足りないかに気づけたのは3回落ちた後でした。
独学で行き詰まったら、通信講座や専門学校で質問できる環境を作る、合格者に解いた答案を見てもらう、といった方法もあります。講座の選び方は簿記1級の通信講座の比較を参考にしてください。どれを選ぶにしても、「次に何を解くか」がはっきりすれば、受かる気がしない時期は抜けられます。
まとめ
- 「受かる気がしない」は多くの受験生が通る段階で、合否の予報にはならない
- 挫折しやすいのは、初めて過去問を解いたとき・不合格を見たとき・本番直後の3つの時期
- 過去問が解けないときは、解答の下書きを写すところから始める
- 落ちたときは1回の点数ではなく推移を見て、足りないものを1つ書き出す
- 本番直後は気持ちより習慣で机に向かう。4回目は「量」から「本番の再現」に変えた
私は28点から始まり、3回落ちて、4回目に70点で合格しました。受かる気がしないときこそ、気持ちを上げようとするより、今の時期に合った次の一手を1つだけ決めてみてください。
簿記1級の合格伴走では、解いた過去問を見ながら、どの科目・どの論点で点が止まっているかを確かめ、次に解く問題と1週間の進め方を一緒に決めています。
まずは無料面談(30分・Zoom・カメラオフOK)で、いまの勉強の状況をうかがいます。その場で契約をお願いすることはありません。
出典
- 日本商工会議所・各地商工会議所「簿記 受験者データ」(1級の回別の実受験者数・合格者数・合格率):https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/candidate-data
- 日本商工会議所・各地商工会議所「簿記 試験科目・注意事項(1級)」(試験科目・合格基準):https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class1/exam


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