「ROE(自己資本利益率)って、けっきょく何を表す数字なの?」「目安はどのくらい?」——そんな方へ。
ROEとは、株主が出したお金(自己資本)を使って、会社がどれだけ利益を生んだかを表す指標 です。投資家がもっとも重視する数字のひとつでもあります。簿記1級保有者の私が、ROEの計算式・目安・高い低いの読み方・ROAとの違いまで、具体的な数字でわかりやすく解説します。
- ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
- 株主が出したお金で、どれだけ効率よく稼いだかを表す
- 日本では 8%以上 が一つの目安(業種で大きく変わる)
- 高ROEには「借入で水増し」の落とし穴もある

ROE(自己資本利益率)とは?
ROEは「Return On Equity」の略で、日本語では自己資本利益率(じこしほんりえきりつ)といいます。株主資本利益率と呼ばれることもあります。
かんたんに言うと、株主が会社に出したお金を元手にして、1年でどれだけ利益を生み出したか を表す割合です。株主から見れば「自分たちが預けたお金が、どれだけ効率よく働いてくれたか」を示す成績表のようなものです。だから投資家がもっとも注目する指標のひとつになっています。
受験生『自分の出したお金が、ちゃんと利益を生んでるか』を見る指標なんですね。



そう。銀行預金の“利回り”に近いイメージだよ。100万円預けて8万円増えたら利回り8%。ROEも考え方は同じで、株主のお金に対する利回りなんだ。
ROEの計算式
ROEは、次の式で計算します。
ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
当期純利益 は、損益計算書のいちばん下に出てくる、最終的に残ったもうけ。自己資本 は、貸借対照表の純資産のうち株主に帰属する部分(返さなくていいお金)です。この2つはどちらも決算書からそのまま読み取れます。
たとえば当期純利益が100、自己資本が1,000なら、100 ÷ 1,000 × 100 = ROE 10%。「株主のお金1,000に対して、1年で100の利益を生んだ」という意味です。
ROEの目安は?(8%が一つのライン)
ROEは高いほど良いとされますが、「何%あれば十分か」の目安として、日本では 8%以上 がよく挙げられます。国が2014年に出した報告書(通称「伊藤レポート」)で、8%を最低ラインの目安として示したことが広く知られています。
ただし、これはあくまで全体のめやすです。ROEは業種によって水準が大きく変わるので、数字だけを他業種と比べても意味がありません。同じ業界の会社どうしで比べるのが基本です。



『8%が一つの線』とだけ覚えておけばOK。あとは同業他社と比べて高いか低いかを見よう。
ROEが高い・低いの読み方
ROEが高い会社は、株主のお金を上手に使って効率よく稼いでいる、と読むのが基本です。逆に低ければ、お金を持て余しているか、稼ぐ力が弱いのかもしれません。
ただし、高ROE=優良企業とは限りません。次の落とし穴があるからです。
⚠ 高いROEには「借入で水増し」の落とし穴
ROEの分母は自己資本です。ということは、自己資本が小さい(借入が多い)会社ほど、同じ利益でもROEは高く出ます。
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 当期純利益 | 100 | 100 |
| 自己資本 | 1,000 | 500 |
| ROE | 10% | 20% |
上の表を見てください。A社もB社も利益は同じ100です。でもB社は自己資本が半分しかないため、ROEは20%とA社の2倍。数字だけ見るとB社が優秀に見えますが、その正体は「借入をたくさん使っている」だけかもしれません。借入が多い会社は、不況になると利息の負担で一気に苦しくなります。
つまり、高いROEを見たら「本当に稼ぐ力が強いのか、それとも借入で大きく見せているだけか」を切り分ける必要があります。この切り分けは、ROEを3つの要素に分解するデュポン分析 を使うとはっきりします。くわしくは専用記事にまとめました。
また、借入(財務レバレッジ)でROEがどう動くかは、こちらの記事で数字を追って解説しています。
ROEとROA・ROICの違い
ROEと似た「稼ぐ力」の指標に、ROAとROICがあります。ちがいは “何で割るか(分母)” です。
| 指標 | 何で割るか(分母) | 何の効率を見るか |
|---|---|---|
| ROE(自己資本利益率) | 自己資本(株主のお金) | 株主が出したお金で稼ぐ力 |
| ROA(総資産利益率) | 総資産(借入も含む全部) | 会社の全資産で稼ぐ力 |
| ROIC(投下資本利益率) | 投下資本(本業に使うお金) | 本業に投じた資本で稼ぐ力 |
ざっくり言うと、ROEは株主目線、ROAは会社全体目線、ROICは本業目線。ROEは借入の影響を受けますが、ROICは財務の組み方に左右されにくいので、本業そのものの実力を見たいときに向いています。
ROEは決算書のどこで見る?(簿記の知識が効く)
ROEを自分で計算するのに必要なのは2つだけ。損益計算書の当期純利益 と、貸借対照表の自己資本(純資産) です。どちらも簿記を学んでいれば、決算書のどこにあるかがすぐ分かります。
有価証券報告書や決算短信には、ROEが計算済みで載っていることも多いです。ただ、自分で式を追えると「なぜこのROEになったのか」まで読み取れるようになります。簿記の知識は、こういう場面でそのまま武器になります。
よくある質問(FAQ)
- ROEの計算式は?
-
当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)です。たとえば当期純利益100・自己資本1,000ならROEは10%になります。
- ROEの目安はどのくらいですか?
-
日本では8%以上が一つの目安とされます(2014年の「伊藤レポート」で示された水準)。ただし業種によって適正水準は大きく変わるので、同じ業界の他社と比べるのが基本です。
- ROEが高ければ良い会社ですか?
-
一概には言えません。自己資本が小さい(借入が多い)会社は、同じ利益でもROEが高く出ます。借入で大きく見えているだけのこともあるので、デュポン分析で中身を分解して確かめるのがおすすめです。
- ROEとROAの違いは?
-
分母が違います。ROEは自己資本(株主のお金)で割り、ROAは総資産(借入も含む全資産)で割ります。ROEが株主目線、ROAが会社全体目線です。
- ROEは自分で計算できますか?
-
できます。損益計算書の当期純利益と、貸借対照表の自己資本(純資産)が分かれば計算できます。簿記を学んでいれば、決算書のどこを見ればいいかもすぐ分かります。
まとめ:ROEは「株主のお金の利回り」
最後に、この記事の要点をまとめます。
- ROE=当期純利益 ÷ 自己資本 × 100。株主のお金の利回り
- 日本では8%が一つの目安(業種差が大きい)
- 高ROEは「借入による水増し」の可能性→デュポン分析で分解
- ROA・ROICとは“何で割るか”が違う
ROEは、株主目線でいちばん注目される指標です。計算式と目安、そして「借入で水増しされることがある」という注意点をセットで押さえておけば、決算書やニュースのROEを、正しく読み取れるようになります。
※本記事は会計・財務の基礎解説です。特定の銘柄の投資を推奨するものではありません。

















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