全経簿記上級って、実際どのくらい難しいの——。受験を考えている方や、日商簿記1級とどちらにしようか迷っている方は、難易度が気になりますよね。
私は全経簿記上級を、1回目(212回)で不合格、2回目(213回)で合格しました。日商簿記1級も4回目で合格しています。つまり、両方を実際に受けてきた立場です。
この記事では、全経簿記上級の難易度を、合格ラインや足切りといった数字の面と、私が受験して体感した「全経ならではの難しさ」の両面からお伝えします。さらに、よくある質問にも答えながら、対策すれば超えられる理由と、私の合格法もまとめます。難易度を正しく知れば、必要以上に怖がらずに準備を始められます。
全経簿記上級の難易度は「日商1級と同等の難関」
結論から言うと、全経簿記上級の難易度は、日商簿記1級と同じくらいの難関です。どちらも税理士試験の受験資格になるレベルで、軽い気持ちで受かる試験ではありません。
そもそも全経簿記上級とは(税理士の受験資格にもなる試験)
全経簿記上級は、全国経理教育協会が主催する簿記検定の最上位です。合格すると税理士試験の受験資格が得られるため、日商簿記1級と並ぶ難関として扱われます。出題は商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目で、学ぶ範囲は日商1級とほぼ重なります。知名度は日商簿記検定ほど高くありませんが、難易度や試験範囲はけっして見劣りせず、むしろ理論の重さなど独自の手応えがあります。
合格ラインは7割(400点中280点・1科目40点未満で足切り)
合格ラインは、400点満点(4科目×各100点)のうち280点、つまり7割です。さらに、1科目でも40点未満があると、その時点で不合格になる「足切り」があります。日商1級も合格ラインが7割・足切りありなので、合格の条件は日商1級とよく似ています。半分取れればいい試験ではない、という点をまず押さえてください。
合格率は15%前後(決して高くない難関)
合格率はおおむね15%前後で推移しており、決して高くありません。受験のチャンスが年に複数回あるとはいえ、しっかり対策しないと7割の壁と足切りに阻まれます。年に何回も受けられるのは立て直しやすい救いでもありますが、その分「次があるから」と気を抜くと、いつまでも合格が遠のきます。「簿記が得意な人でも油断すると落ちる」くらいの感覚で準備するのが安全です。
私が体感した「全経上級ならではの難しさ」3つ
範囲が日商1級と重なるなら同じ難しさかというと、そうではありません。全経上級には、受けてみて初めてわかる独特の難しさがあります。
① 問題文の独特な言い回しに戸惑う
私が最初に過去問を解いたとき、まったく解けないわけではないのに、日商1級とは違う問題文の独特な雰囲気に強い苦手意識を持ちました。同じ連結会計や原価計算の論点でも、聞かれ方や言い回しが違うだけで一気に難しく感じます。これは知識不足ではなく、全経の「文体」に慣れていないことが原因です。だからこそ、全経の過去問そのもので慣れておくことが、難易度を下げる近道になります。
② 理論問題の比重が重い(私はここで1回落ちた)
全経上級は、計算だけでなく理論(言葉で説明させる問題)の比重が重いのが特徴です。理論問題では、用語の意味や会計処理の理由を、自分の言葉で説明させられます。手を動かせば答えが出る計算問題と違い、普段から「なぜそうなるのか」を理解していないと書けません。私が1回目の212回で不合格になった大きな原因も、この理論問題での失点でした。計算が得意でも、理論で点を落とすと7割の壁を超えられません。
③ 試験会場・時間の感覚が日商1級と違う
細かい話ですが、私が受けた全経上級の試験会場は、日商1級の会場と違ってかなり狭く、問題を解きにくかったのを今でも覚えています。環境や時間配分の感覚が日商1級と微妙に違うので、本番への「慣れ」も難易度のうちだと感じました。過去問を本番と同じ時間で解いて、雰囲気に慣れておくことをおすすめします。
全経上級の難易度を数字と足切りで整理
体感の難しさを、今度は数字とルールの面から整理してみます。なぜ全経上級が「日商1級と同等の難関」と言われるのか、合格条件を見るとはっきりします。
7割という高い合格ライン
くり返しになりますが、合格ラインは400点中280点の7割です。半分取れればいい試験ではなく、しっかり7割を取り切る精度が求められます。ここが、簿記2級までの感覚で受けると痛い目に遭うポイントです。基礎を固めたうえで、取りこぼしを減らす練習が欠かせません。
4科目すべてで穴を作れない(足切りの怖さ)
全経上級でいちばん怖いのが足切りです。合計で7割を超えていても、1科目でも40点未満があれば、その時点で不合格になります。たとえば商業簿記で高得点でも、原価計算が40点に届かなければアウトです。得意科目で稼いで苦手科目を捨てる、という作戦が通用しません。4科目すべてに穴を作れないことが、難易度をさらに一段上げています。
日商1級とどっちが難しい?(※詳しくは比較記事へ)
「日商1級と全経上級、どっちが難しいの?」はよく聞かれる質問です。結論だけ言うと、両方とも同じくらいの難関で、得意・不得意によって体感は変わります。両方を受けた私の詳しい比較は別の記事にまとめているので、迷っている方はそちらも参考にしてください。
難易度は高いが「対策すれば超えられる」
ここまで難しさを並べてきましたが、全経上級は正しく対策すれば十分に合格できる試験です。実際、私も1回落ちてから合格できました。
日商1級の勉強がそのまま土台になる
全経上級は範囲が日商1級とほぼ同じなので、日商1級の勉強がそのまま土台になります。商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算という4科目の枠組みも共通です。私もネットスクールの全経向け直前対策講座を使い、日商1級で積み上げた力を全経用に調整する形で対策しました。ゼロから始める試験ではないので、日商1級を勉強した人なら十分に手が届きます。
過去問を理論中心に回す(私の合格法)
1回目の不合格が理論での失点だったので、2回目は過去問を理論問題中心に回しました。具体的には、過去問の理論部分を解いて、間違えた箇所の用語や説明を自分の言葉で書き直す作業をくり返しました。計算は日商1級の力で対応できるぶん、全経で差がつきやすい理論を一点集中で潰す——これが私の合格につながったやり方です。難易度の高さは、弱点を絞って埋めることで十分に乗り越えられます。
1回落ちても受かる(212回不合格→213回合格の体験)
私は212回で不合格、その後の213回で合格しました。しかもその213回は、工業簿記で資料を1つ読み飛ばして失点し、「今回も落ちた」と確信したほどです。それでも合格できました。完璧でなくても、足切りを回避して7割に届けば受かります。1回落ちても、原因をつぶせば必ず届く——これが、難易度に悩む方にいちばん伝えたいことです。
全経簿記上級の難易度・合格についてよくある質問
Q. 全経簿記上級は何点で合格できますか?
400点満点(4科目×各100点)のうち280点、つまり7割で合格です。ただし1科目でも40点未満があると足切りで不合格になります。日商1級と同じく「7割+足切り」の条件なので、満遍なく得点する力が必要です。
Q. 日商1級を持っていなくても全経上級に受かりますか?
範囲が日商1級とほぼ同じなので、合格には日商1級レベルの実力が必要です。日商1級の勉強をしないでいきなり全経上級だけを狙うより、日商1級と並行するか、日商1級の力を土台にして全経の対策を上乗せする方が、結果的に近道になります。
Q. 全経上級は何ヶ月くらいで受かりますか?
日商1級の土台がある人なら、全経専用の直前対策に数ヶ月集中すれば十分に狙えます。私も日商1級の勉強をベースに、全経向けの対策を上乗せする形で合格しました。逆に簿記の土台がない状態からだと、日商1級と同じだけの勉強時間が必要だと考えてください。
Q. 全経上級と日商1級、どちらを先に取るべきですか?
範囲がほぼ同じなので、知名度の高い日商1級を軸に勉強し、全経上級は併願や腕試しとして受けるのが効率的です。私も日商1級の勉強の流れで全経上級を取りました。どちらが難しいかの詳しい比較は別記事にまとめています。
Q. 全経上級の対策におすすめの教材は?
私はネットスクールの全経簿記上級の過去問題集と、直前対策講座を使いました。範囲は日商1級とほぼ同じなので、新しいテキストをそろえる必要はあまりなく、日商1級の教材を土台にしつつ、全経の過去問で独特の出題形式に慣れるのが基本の進め方です。特に理論問題は、過去問で問われ方をつかんでおくと安心です。
まとめ
全経簿記上級の難易度について、この記事のポイントを最後にもう一度整理しておきます。
- 難易度は日商1級と同等の難関。合格ラインは400点中280点(7割)で、足切りもある
- 範囲は日商1級とほぼ同じだが、問題文の独特さ・理論の比重・会場の慣れに全経ならではの難しさがある
- 4科目どれも40点未満は足切り。得意で稼いで苦手を捨てる作戦が使えない
- 日商1級の勉強が土台になり、過去問を理論中心に回せば十分に対策できる
- 1回落ちても受かる(私は212回不合格→213回合格)
難易度は確かに高いですが、日商1級の力を土台に理論を固めれば、十分に手が届きます。難易度に身構えすぎず、まずは全経の過去問を1回分解いて、いまの自分との距離を測ることから始めてみてください。そのうえで、全経上級と日商1級の比較、具体的な勉強方法、取得する意味(転職での評価)については別の記事でも詳しく書いているので、あわせて読んでみてください。あなたの合格を応援しています。



