「全経簿記上級って、どうやって勉強すればいいの?」「日商簿記1級と何が違う対策が必要?」と検索した方へ。
私は全経簿記上級を、1回目(第212回)に265点/400点で不合格→2回目(第213回)で合格した経験があります。簿記2級取得後の累計勉強時間は約2,500時間(日商簿記1級と共通の土台部分を含む)。1回目に落ちた理由・2回目で合格した修正点を、実体験ベースで書きます。
この記事では、全経簿記上級の試験概要、私の1回目不合格時のスペック、合格までに使った教材・スケジュール、日商簿記1級と何が違う対策が必要か、そして「日商簿記1級受験生こそ全経を受けるべき理由」を、本音でまとめます。
全経簿記上級の試験概要
まず、全経簿記上級の基本情報を確認します。
年2回開催(7月・2月)、400点満点で280点以上が合格
全経簿記上級は、全国経理教育協会が主催する簿記検定で、毎年7月と2月の年2回開催されています。
試験は400点満点で、合計280点以上で合格。ただし1科目40%(25点)未満を取ると、合計280点を超えていても足切りで不合格になります。
4科目構成(商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算、各100点満点)で、日商簿記1級と科目構成は同じです。
税理士試験の受験資格が得られる
全経簿記上級に合格すると、税理士試験の受験資格が得られます。
これは日商簿記1級と同じ位置づけ。日商簿記1級と全経簿記上級は、税理士法上「同等の難易度」として扱われている資格です。
「税理士を目指したいが、日商簿記1級が取れない」という方の救済ルートとしても機能しています。
合格率は約15%、日商簿記1級より少し受かりやすい
全経簿記上級の合格率は、回によって変動しますが、おおむね15%前後。
・全経簿記上級:約15%
・日商簿記1級:約10%
数字だけ見ると、全経の方が1.5倍受かりやすい計算です。
ただし、母集団のレベルが違うので単純比較できません。全経の受験者は「税理士を本気で目指す層」が中心で、決して甘い試験ではない、というのが受験者の共通認識です。
私の受験スペック:1回目265点不合格→2回目合格
私自身、全経簿記上級も1回で受からなかった経験があります。
1回目(第212回):265点/400点で不合格
1回目の全経挑戦は第212回。結果は265点/400点で不合格でした。合格ラインの280点まで残り15点という、惜しい不合格です。
このとき、私はすでに日商簿記1級を3回連続で不合格(点数推移:28→55→68)。「日商に4回目の挑戦をする前に、全経で合格体験を取り戻そう」というメンタル戦略で受けた試験でした。
「日商簿記1級の3回目で68点取れている自分なら、全経は楽勝だろう」と甘く見ていた結果、265点の不合格を喰らいました。
不合格の原因:理論問題対策不足
1回目の不合格の最大の原因は、理論問題対策の不足でした。
日商簿記1級は計算問題が中心で、理論問題はほとんど出ません。私はその感覚のまま全経に挑戦したのですが、全経の理論問題は記述式・穴埋め式で、日商では一切出ない形式でした。
「リース会計の経済的実質を200字以内で論じよ」「会計基準の○○に関する規定を答えよ」のような問題です。日商の計算特化の勉強だけでは、全く対応できない設計になっています。
計算問題は7〜8割解けた感覚でしたが、理論問題が3割しか取れなかったのが、15点不足の正体でした。
2回目(第213回):理論強化で合格
1回目の不合格を受けて、2回目(第213回)に向けては理論問題対策を強化しました。
具体的には:
・会計基準の重要論点を文章で説明する練習
・全経の過去問の理論問題を、解答を見ながら写経
・桜井久勝「財務会計講義」で理論的背景を深掘り
この対策で、2回目は理論問題でも7〜8割を確保。結果、合格ラインを超えて第213回で合格しました。
そして全経合格の4ヶ月後、日商簿記1級も4回目(第167回)で70点合格。全経合格が日商合格に直結した形です。
全経簿記上級合格までの累計勉強時間
正確な勉強時間を共有します。
簿記2級取得後の累計約2,500時間
全経簿記上級合格時点での、簿記2級取得後の累計勉強時間は約2,500時間。
これは日商簿記1級と共通の土台部分を含む数字です。「全経のためだけに2,500時間かけた」わけではなく、日商簿記1級の勉強がそのまま全経の土台になっています。
内訳:日商簿記1級と共通の土台 + 全経専用追加対策
2,500時間の内訳をざっくり分けると:
・日商簿記1級と共通の土台(商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の計算問題対策):2,000〜2,200時間
・全経専用の追加対策(理論問題・全経過去問演習):300〜500時間
つまり、日商簿記1級を本気で勉強している方なら、追加で300〜500時間の上乗せで全経も狙えるという計算になります。
全経専用は300〜500時間程度
「全経だけのための追加投資」は、思ったより少なくて済みます。
日商簿記1級の演習で計算問題の基礎は完成しているので、全経で必要なのは「理論問題対策」と「全経過去問の出題傾向に慣れる」ことだけ。
私の場合、1回目の不合格後に集中的に理論問題に取り組んで、約300時間程度の追加投資で2回目に合格できました。
私が使った教材リスト全公開
全経合格までに使った教材を全部公開します(公式テキストは使っていません)。
インプット教材(ネットスクール「とおる」+ 学術書)
土台のインプットは日商簿記1級と共通の教材を使いました。
・ネットスクール「とおるテキスト」4冊(商業・工業)
・桜井久勝「財務会計講義」(中央経済社)
・岡本清「原価計算」(同文舘出版)
・TAC「管理会計論テキスト」
特に2回目の全経挑戦に向けて、桜井「財務会計講義」と岡本「原価計算」を理論問題対策の辞書として活用しました。これらは大学の学部レベルの教科書ですが、全経の理論問題で問われる「会計基準の背景にある考え方」を理解するのに最適です。
アウトプット教材(TAC「合格トレーニング」+ 過去問)
演習問題は日商簿記1級用と共通で使い回しました。
・ネットスクール「とおるトレーニング」4冊
・TAC「合格トレーニング」6冊
・ネットスクール「誰でも解ける過去問題集」
・ネットスクール「講師が選んだ過去問題集」
・TAC「合格するための過去問題集」(125回〜165回の日商過去問)
・TAC「出題パターンでマスター過去問題集(工原)」
・TAC「予想問題集」(165回・167回版)
・ネットスクール「ズバリ的中予想模試」(165回・167回版)
・TAC「管理会計論問題集」(会計士向け)
・スタディング「簿財問題集」
計算問題はこの教材群で十分にカバーできます。
全経専用:過去問題集(第189〜209回)
全経専用の対策で唯一追加で買ったのが、過去問題集です。
・ネットスクール「全経簿記上級過去問」(第189回〜第209回)
全経の過去問題集はネットスクールが圧倒的に強く、解説も丁寧。私は過去20回分(189〜209回)を3周以上回しました。
過去問演習で「全経特有の出題パターン」を体に染み込ませることが、合格への近道です。
日商簿記1級と何が違う対策が必要か
日商簿記1級の勉強をしてきた方が、全経で追加で必要な対策を整理します。
理論問題:全経の方が圧倒的に深い・記述式
全経の理論問題は、日商では出ない深さの問題が出ます。
・「○○の経済的実質を200字以内で論じよ」(記述式)
・「会計基準○条の規定を答えよ」(穴埋め式)
・「○○会計の特徴を3つ挙げよ」(列挙式)
これらは日商簿記1級の対策では一切触れない形式です。専用の対策が必須。
私が1回目で落ちた最大の原因がここでした。日商の感覚で受けると、確実に失点します。
計算問題:日商よりは素直、過去問対策がそのまま効く
逆に、全経の計算問題は日商より素直な作りです。
日商は「問題文に曖昧な表現を散りばめて読解力を試す」「ひねりを効かせて推定要素を含める」といった意地悪な設計が多いです。全経の計算問題は、論点をストレートに問う設計で、過去問演習がそのまま得点に直結します。
日商の演習をしてきた人なら、全経の計算問題は7〜8割取れる感覚です。
会計学の正誤問題:全経独自の対策が必要
全経の会計学には、独自の正誤問題が出題されます。
「次の文章の正誤を判定せよ」という形で、5〜10個の文章が並びます。会計基準の細部まで正確に理解していないと、引っかけにはまります。
これは全経の過去問演習で対策します。同じパターンの正誤問題が繰り返し出るので、過去問を回せばパターンに慣れます。
1回不合格を経て確立した勉強方法4ステップ
私が2回目で合格できた勉強方法を、4ステップで整理します。
Step1:日商簿記1級の演習を継続(共通範囲の土台)
全経対策に切り替えるからといって、日商簿記1級の演習を完全に止めてはいけません。
両試験の計算問題は7〜8割共通しているので、日商の演習を継続することが、全経の計算問題の土台を維持することに直結します。
私の場合、日商と全経の両方を狙いつつ、日商の演習を週5日、全経専用対策を週2日のリズムで進めました。
Step2:全経過去問題集(189〜209回)を反復
全経専用の対策の中心は、全経過去問題集の反復です。
ネットスクールの過去問題集(第189回〜209回)を3周以上回します。1周目は時間無制限で理解優先、2周目以降は本試験と同じ制限時間で解く。
過去問演習で「全経特有の出題パターン」が体に染み込んだら、本試験で迷う場面が激減します。
Step3:理論問題対策(会計基準の穴埋め・記述)
ここが日商との最大の違いです。
過去問の理論問題を、まず解答を見ながら写経します。書きながら「なぜこの解答になるのか」を考える。これを繰り返すと、会計基準の重要論点が頭に入っていきます。
並行して、桜井「財務会計講義」で理論的背景を深掘り。「リース会計の経済的実質は何か」「収益認識基準の5要件はなぜ必要か」を、自分の言葉で説明できるまで読み込みます。
Step4:本試験想定模試
本試験の1ヶ月前から、過去問題集の中で残しておいた直近5回分を「本番想定模試」として解きます。
本試験と同じ時間配分、同じ筆記用具、同じ電卓で。本番の緊張感に体を慣らすのが目的です。
模試で見つかった弱点は、本試験までに最終補強します。
日商簿記1級受験生が全経を受けるべき4つの理由
最後に、日商簿記1級受験生に「全経を受けることをおすすめする」4つの理由を整理します。
理由1:本試験前の実戦演習になる
日商と全経は試験時期が約1ヶ月ずれているので、
・6月日商 → 7月全経(日商の練習仕上げに)
・11月日商 → 2月全経 → 6月日商(次回日商の前哨戦)
の流れで、年4回の本試験を経験できます。模試では再現できない「本試験の緊張感」を全経で経験すると、次回の日商で動じなくなります。
理由2:理論対策が日商の理解度UPに繋がる
全経の理論問題対策で会計基準を深く理解すると、日商の計算問題への理解も深まります。
「なぜこの仕訳になるのか」を本質から理解できると、日商の応用問題で初見の論点が出ても推測で対応できるようになります。
私が4回目の日商で合格できた理由の1つも、全経対策で理論力を強化したからです。
理由3:1度の合格体験でメンタル回復
日商簿記1級を何度も落ちていると、メンタルが折れます。
「自分は受からない側の人間なのでは」という不安が膨らみ、勉強そのものが辛くなる。これは私自身が3回連続不合格で経験した心境です。
そんなときに全経で合格体験を1つ取れると、「自分は受かる側の人間だ」と思い直せます。これがメンタル回復の決定打になります。
理由4:税理士試験受験資格の保険になる
税理士試験の受験資格は、日商簿記1級または全経簿記上級のどちらかで得られます。
両方持っていれば「保険」として機能します。「日商簿記1級を持っているが資格証明書を紛失」みたいな万が一の事態でも、全経があれば税理士試験を受けられる。
地味なメリットですが、長期的にキャリアを描く上で安心感があります。
まとめ:全経合格は日商簿記1級合格への最短ルート
全経簿記上級を1回不合格を経て2回目で合格した立場から、最後に結論をまとめます。
・全経簿記上級は年2回開催、400点満点で280点以上が合格
・私の体験:1回目265点で不合格→2回目で合格→その4ヶ月後に日商簿記1級4回目で合格
・簿記2級取得後の累計約2,500時間(日商1級と共通の土台含む)
・全経専用追加対策は300〜500時間程度で済む
・日商との違いは「理論問題」が深いこと(記述式・穴埋め式)
・計算問題は日商よりも素直で、日商の演習がそのまま効く
・日商簿記1級受験生こそ、全経を「前哨戦」として受けるべき
そして、私が一番伝えたいのは、
「日商簿記1級で何度も落ちている人は、全経を挟むと風向きが変わる」
私自身、日商3回連続不合格でメンタルがボロボロだった時期に、全経を挟んだことで合格体験を取り戻し、その勢いで日商4回目で合格できました。
3回も不合格を経験すると、自信が完全に折れます。そこから立て直すのに「全経合格」という小さな勝利が、想像以上に大きな意味を持ちました。
「日商簿記1級だけ」を狙い続けて何度も落ちている方は、ぜひ全経を挟んでみてください。前哨戦としての全経が、日商合格への最短ルートになる可能性は十分にあります。
一緒に両方の合格を勝ち取りましょう。




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