「ネットスクールの簿記1級講座って、実際どうなの?」と気になっている方へ。
私はネットスクールの標準コースで簿記1級を学習し、162回・164回・165回・167回の4回受験を経て、累計3,168時間をかけて4回目で合格しました。最初の1年フル受講し、その後3年独学で4回目に合格した元受講生が、良かった点・いまいちな点・他社(CPA・クレアール・スタディング・TAC)との比較・合う人合わない人を本音でレビュー。
この記事では、私がネットスクールを選んだ理由、4回受験して感じた「良かった点」「いまいちな点」、他社(CPA・クレアール・スタディング・TAC)と比較したうえでの所感、そして「合う人・合わない人」を、忖度なしでレビューします。「結局どの講座が良いんだろう」と迷っている方の判断材料になれば幸いです。
ネットスクールの簿記1級講座を選んだ理由
私が当時ネットスクールを選んだのは、大手予備校と比較して「価格・教材・続けやすさ」の3点でバランスが良かったからです。
当時、受講料が大手予備校より圧倒的に安かった
ネットスクールの簿記1級標準コース受講料は約124,000円(私が受講した当時)。
これを大手と比較すると、TACは約165,000円、大原は約146,500円。月給20万円ちょっとの社会人受験生にとって、この差は無視できない金額です。
「2回・3回と受け直すことになっても、家計が崩れない価格」というのは、長期戦になりがちな簿記1級では特に重要です。実際、私は4回受験することになりましたが、ネットスクールの価格帯だったから財布的にも続けられた、という実感があります。
「とおるシリーズ」「サクッとシリーズ」が評判だった
教材選びで決め手になったのは、ネットスクールの市販テキスト「とおるシリーズ」「サクッとシリーズ」がブログや受験生コミュニティで高評価だったことです。
書店で手に取ってみると、図解が多く、初学者でも段差を踏み外しにくい構成。簿記1級のテキストは「いきなり連結会計」みたいなジャンプがあると挫折するので、ここがしっかりしているのは大きい。
通信講座は基本このテキストをベースに進むので、市販でも入手できる安心感がありました。
社会人でも続けやすい受講形態だった
ネットスクールは「WEB講義 + テキスト + 質問サポート」の組み合わせ。通学型予備校と違って、自宅で好きな時間に勉強できます。
私の場合は1回目の受験時こそ無職期間で時間がありましたが、2回目以降は社会人受験で平日夜・週末しか時間が取れませんでした。WEB講義を倍速で見たり、繰り返し巻き戻したりできる仕組みは、社会人受験生の救いになります。
通学を選ぶとどうしても「決まった曜日にスケジュールを開ける」という負担が出ますが、ネットスクールはそれが無い。続けやすさという意味では大手通学型より優れていると思います。
4回受験して感じたネットスクールの「良かった点」
4年・3,168時間使って実感した、ネットスクールの「ここは強い」と思った部分をまとめます。
テキストが初学者の段差を細かく分けている
簿記1級のテキストは、出版社によって「初学者向け」「経験者向け」の差が大きい分野です。
ネットスクールの「とおるシリーズ」は、初学者向けに振り切っていて、論点ごとに「なぜそうなるのか」の図解と簡単な数値例から入ります。「貸方借方の対応はこう、相殺はこう、結果こう仕訳する」というステップを、丁寧に1つずつ追っていく構成。
簿記2級から1級に上がるときに一番つらいのは「いきなり論点が抽象化する」ことなんですが、とおるシリーズはここのジャンプが小さい。私のように偏差値40レベルの社会人でも、独学では絶対挫折していたであろう論点を、テキスト + 講義のセットで何とか乗り越えられました。
WEB講義で何度でも巻き戻せる
これは通信講座全般のメリットでもありますが、ネットスクールも例外ではありません。
簿記1級は「1回聞いただけでは絶対に分からない」論点が普通に出てきます。連結会計の修正仕訳、退職給付の差異処理、リース取引の利息法……。私の場合、難所の論点は3〜5回繰り返し見直してようやく腑に落ちる、という頻度でした。
通学型だと「もう一度この回をやり直したい」と思っても、次の単元に進まざるを得ません。WEB講義は何度でも巻き戻せるので、自分のペースで詰まった論点を消化できます。
質問サポートが受験生のメンタルに効く
ネットスクールには受講生向けの質問サポート機能があります。テキスト・講義で分からなかったところを書き込むと、講師が回答してくれる仕組み。
私が一番ありがたかったのは、回答の中身そのものよりも、「分からなくて困っている自分の話を聞いてくれる人がいる」という安心感でした。
簿記1級は孤独な戦いです。1人で延々とテキストと向き合っていると、「自分がやってる方向が合ってるのかすら分からない」状態に陥ります。質問サポートで「その理解で合ってますよ」「ここは○○の論点とつながってます」と返事をもらえるだけで、メンタルが回復します。
特に2回・3回と不合格を続けている受験生にとって、この精神的サポートはかなり大きいです。
4回受験して感じたネットスクールの「いまいちな点」
正直なところ、ネットスクールにも弱点はあります。4年使ったからこそ見えた部分を、忖度なしで書きます。
アウトプット問題量が足りない(自力で追加演習が必要)
ネットスクールのカリキュラムは「テキスト + 講義 + 標準問題」の組み合わせですが、簿記1級レベルになると、用意されている問題量だけでは演習不足になります。
特に商業簿記の連結会計、工業簿記の標準原価計算など、頻出論点は同じパターンを20〜30回反復しないと身に付かないんですが、ネットスクール標準コースの問題量だけだと10回前後しか回せません。
私の場合は、市販の「合格トレーニング(TAC出版)」を追加で買って演習量を増やしました。ネットスクールの講義で理解 → TACの問題集で大量演習、というハイブリッド運用です。
「ネットスクールだけで合格できる」と書いてあるブログをよく見ますが、私の体感では「ネットスクールだけだと合格水準ギリギリで運頼みになる」が正直なところです。
WEB講義の音質・画質が大手と比べると劣る
これは年々改善されているかもしれませんが、私が受講していた当時、ネットスクールのWEB講義は大手予備校と比べて音質・画質が一段落ちました。
具体的には、講師の声が時々こもる、板書のホワイトボードが光って読みにくい、といった細かい問題。
学習効率を大きく落とすほどではないですが、「TACの講義動画を一度でも見たことがある人」が比較すると、映像のプロダクション品質に差を感じます。費用が安い分、ここはトレードオフだと割り切る必要があります。
「ネットスクール内」での合格率しか公表されない
ネットスクールは「受講生の合格率21%」を公表していて、業界平均10%の2倍と謳っています。
ただ、これはあくまで「ネットスクールの受講生」を母集団にした数字。受講生の中でも本気で勉強した人だけがカウントされている可能性が高く、「ネットスクールに申し込めば21%で受かる」という意味ではありません。
私自身、162回・164回・165回で3連続不合格しているので、合格率21%の母集団に入る前に3回落ちた人もちゃんと存在します。
数字を額面通りに受け取らず、「真面目に取り組めば10%平均よりは受かる確率が上がる」くらいに考えておく方が、後でガッカリせずに済みます。
他社(CPA・クレアール・スタディング・TAC)と比べた所感
ネットスクールを選ぶ前に、私もいくつかの他社と比較しました。今振り返って、それぞれの特徴と「ネットスクールと比べてどうだったか」を書きます。
CPAラーニング:完全無料の威力と限界
CPAラーニングは、公認会計士向けの予備校CPAが運営する無料学習サービス。簿記1級レベルまで完全無料で受講できます。
「お金をかけずに簿記1級を目指したい」という人には最有力の選択肢です。
ただ、無料サービスの宿命として「サポートの厚みは有料に劣る」「質問対応や答練の手厚さは限定的」という面はあります。私自身、独学で挫折しそうな性格なので、有料の伴走サポートがあるネットスクールを選びました。
「予算ゼロ・自走できるタイプ」ならCPAラーニング一択、「お金は払うから手厚いサポートが欲しい」ならネットスクール、という棲み分けです。
クレアール:合格点特化の「非常識合格法」
クレアールは「非常識合格法」を売りにしている通信講座。満点を狙わず、合格点をピンポイントで取りに行く設計です。
価格はネットスクールよりやや高め(10万円台後半)。ただし、論点を絞り込んでいる分、無駄な深掘りが少なくて短期決戦に強い印象でした。
「とにかく早く合格したい」「論点の取捨選択を予備校に任せたい」というタイプには合います。逆に「全範囲を一通り理解したい」というタイプには物足りない可能性があります。
ネットスクールの方が、全範囲を丁寧に追う設計なので、私のように1級合格後も全経簿記上級・証券アナリストと進む受験生には向いていました。
【H3】スタディング:スマホ完結の手軽さと演習不足
スタディングは簿記1級講座を約7万円という低価格で提供。完全スマホ完結で、通勤時間や昼休みのスキマ時間で勉強できる設計です。
価格と手軽さは間違いなく業界トップ。ただし、スマホ完結ゆえに「紙に書いて手を動かす」演習量が圧倒的に少ない。
簿記1級は「電卓を叩いて手で計算を流す」訓練が必須なので、私の場合はスタディングだけだと合格に届かなかったと思います。「スマホ学習の手軽さ」と「合格に必要な演習量」のトレードオフを理解した上で選ぶ必要があります。
TAC:教材・講義ともにやや硬派。ただし、極めれば合格力はつく
TACの教材は、全体的に難易度がやや高めです。論点の網羅性が高く、問題のレベルも重めなので、初学者にとっては「少し難しい」「消化するのが大変」と感じる場面もあります。
また、講義もどちらかというと学問寄りで、少し硬派な印象があります。簿記の背景や理論までしっかり押さえるスタイルなので、人によっては「わかりやすく噛み砕いてくれる」というより、「本格的に学ばせる講座」と感じるかもしれません。
ただし、そのぶん教材・講義の完成度は高く、きちんとやり込めば本試験で戦える実力は十分に身につきます。テキスト・問題集・答練をしっかり消化できる人であれば、合格レベルまで到達できる内容です。
一方で、教材の難易度や講義の硬さがあるため、初学者や独学に近い感覚で進めたい人には、やや重く感じる可能性もあります。
ネットスクールが合う人・合わない人
4年・4回受験した私の実感から、ネットスクールが「向いている人」「向いていない人」を整理します。
合う人:じっくり積み上げ型・社会人・コスパ重視
以下に当てはまる人は、ネットスクールがハマる確率が高いです。
・社会人で通学は無理だが、通信講座でも続けたい
・偏差値が高くないので、初学者向けテキストでじっくり進めたい
・1回で受かるとは思っていない、長期戦でも諦めない覚悟がある
・コスパを重視して、大手予備校の半額〜2/3で済ませたい
・全範囲を一通り理解してから2級・1級と進みたい
私は全部当てはまっていたので、4年お世話になりました。
合わない人:短期決戦型・対面講師が欲しい・最新映像にこだわる
逆に、以下に当てはまる人は別の選択肢を検討した方が良いです。
・1回で確実に受かりたい → TACか大原(実績重視)
・対面で講師に直接質問したい → TACか大原の通学
・映像クオリティが高くないと集中できない → 大手予備校
・スキマ時間でスマホだけで完結したい → スタディング
・予算ゼロで自走できる → CPAラーニング
ネットスクールは「中庸でバランスが良い」講座なので、極端なニーズには合いません。
まとめ:4回受験者の本音「ネットスクールはこんな人に勧めたい」
4年・3,168時間・4回受験という遠回りをしてきた立場から、ネットスクール簿記1級講座の評価を一言でまとめると:
「派手さはないけど、長く付き合える地味な良講座」です。
派手な合格保証も、最先端の映像クオリティも、有名予備校の安心ブランドもありません。でも、価格は適正、テキストは丁寧、講師は誠実、サポートは温かい。
簿記1級が「1回で受かれば3〜6ヶ月、長くなれば数年」かかる試験である以上、「長く付き合える」というのは決定的な強みです。私が4回受験できたのは、ネットスクールの価格帯と続けやすさのおかげと言ってもいい。
逆に、「絶対に1回で受かる!」「短期決戦で行く!」という覚悟と予算があるなら、TACや大原の方が向いている可能性は高いです。
最後に、これからネットスクールを検討する方に伝えたいのは1点だけ:
「カリキュラムだけで合格水準に届くと思わない」
これはネットスクールに限らず、どの講座にも当てはまります。標準カリキュラムは「合格水準ギリギリ」までしか連れて行ってくれません。そこから安全圏に届くには、市販問題集での追加演習、過去問演習、模試受験など、自分で動く部分が必ず必要です。
その「自分で動く部分」を頑張れるなら、ネットスクールはコスパ最強の選択肢になります。逆に、講座任せにしたい人は、価格を払ってでも大手を選ぶ方が結果的に近道です。
これから簿記1級に挑戦する方の、講座選びの参考になれば幸いです。一緒に合格を勝ち取りましょう。

コメント