日商簿記1級の勉強方法を4回受験で確立|3,168時間かけて低偏差値が合格した実体験スケジュール

「日商簿記1級って、どんな勉強方法で進めればいいの?」と検索した方へ。

私は低偏差値・社会人で、162回・164回・165回・167回の4回受験を経て、累計3,168時間かけて4回目で合格しました。3回連続不合格の中で、自分の勉強方法を3回大きく見直して、ようやく辿り着いた合格パターンがあります。

この記事では、合格までの月別スケジュール、使った教材、4回の点数推移と各回ごとに修正した勉強方法、3回不合格から学んだ「やってはいけない勉強法」、長期戦を乗り切るマインドを、全て本音で書きます。

目次

簿記1級の勉強方法を4ステップで整理

簿記1級の勉強方法は、突き詰めると以下の4ステップに集約されます。私が4回受験の試行錯誤で辿り着いた、再現性のある順序です。

Step1:全範囲を1周(インプット)

最初のステップは、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目を、テキストで一通り通します。

この段階の目的は「全体像を掴むこと」だけ。完璧に理解しようとしないでください。論点ごとに「ふーん、こういう仕訳になるんだ」「こういう計算をするんだ」と把握すれば十分です。

期間の目安は3〜4ヶ月。1日2〜3時間ペースなら、200〜300時間でこなせます。

Step2:論点別の演習(理解の定着)

全範囲を1周したら、論点ごとに演習問題を解いていきます。テキストの章末問題、もしくは合格トレーニング(TAC)の対応章を使います。

ここで初めて「自分が分かっていない論点」が明確になります。テキストで読んで分かったつもりでも、手を動かすと全然解けない、というのが簿記1級では普通です。

期間の目安は2〜3ヶ月。合計勉強時間が500〜600時間になる頃です。

Step3:過去問演習(応用力)

論点別演習で7〜8割解けるようになったら、過去問演習に進みます。

ここから先は私が[別記事で詳しく書いている過去問の使い方]の通りで、1周目は時間無制限で理解優先、2周目以降は時間配分の練習という形で進めます。

過去問は最低10年分(20回分)× 3周。私は累計100周以上回しました。

期間の目安は2〜3ヶ月。合計勉強時間が800〜1,000時間に達します。

Step4:本試験想定模試(時間配分)

最後のステップは、本試験と完全に同じ条件での模試演習です。

直近5年分(10回分)の過去問を「初見」として最後まで取っておき、本試験の1ヶ月前から本番想定で解きます。同じ時間配分、同じ電卓、同じ筆記用具で。

ここで「本番で起きる時間切れ」「ケアレスミス」「特定論点での硬直」などのリスクを事前に潰します。

合計勉強時間が1,000〜1,200時間で合格水準に届く、というのが「ストレートで合格できる人」のペースです。私は3回不合格を経験したので、ここまで3倍の3,168時間かかりました。

私が使った教材とその選び方

私が4回受験で実際に使った教材を、用途別に整理します。

インプット:ネットスクール「とおるテキスト」+ 講義

メインのインプット教材は、ネットスクールの「とおるテキスト」4冊です。

選んだ理由は、初学者向けに振り切った構成で、「なぜそうなるのか」を図解と数値例で丁寧に説明してくれる点。私のような低偏差値の社会人でも、テキスト + 講義のセットで何とか段差を踏み外さずに進めました。

ネットスクールの通信講座については[別記事で詳しく書いていますが]、価格・サポート・続けやすさのバランスが社会人受験生に合っています。

アウトプット:TAC「合格トレーニング」+ 過去問題集

アウトプットの主軸は、TACの「合格トレーニング」6冊と「合格するための過去問題集」です。

ネットスクールの標準演習量だけでは絶対に足りないので、TACのアウトプット教材で量を稼ぎます。「合格トレーニング」は論点別の問題集で、苦手論点の集中演習に最適。

過去問題集はTACの「合格するための過去問題集」一択でいいと思います。解説の丁寧さが他社の追随を許しません。

補助:「財務会計講義」「管理会計論」(深掘り用)

これは「2級→1級でつまずいた論点を深掘りしたい」「会計の本質を理解したい」という方向けの補助教材です。

・桜井久勝「財務会計講義」(中央経済社)

・櫻井通晴「管理会計」(同文舘出版)

大学の学部レベルの教科書ですが、特定論点を本質から理解したいときに辞書として使えます。

ただし、これらは「合格目的の教材ではない」ので、最初から手を出すと挫折します。私の場合は3回目の不合格後、特定論点(連結会計・直接原価計算)を深く理解するために手を出しました。

月別スケジュール:1年で合格を目指すならこう組む

1日2〜3時間ペースで1年かけて合格を目指す方向けの、月別スケジュールの目安です。

1〜3ヶ月目:商業簿記・工業簿記の基礎インプット

最初の3ヶ月は、商業簿記と工業簿記の基礎をテキストで通します。

商業簿記:現金・預金 → 商品売買 → 有価証券 → 固定資産 → 引当金 → 社債 → 純資産 の流れ。

工業簿記:費目別計算 → 部門別計算 → 製品別計算(個別/総合)の流れ。

この段階では「論点ごとの理解」を優先します。テキストの章末問題が7〜8割解けるレベルが目標。

4〜6ヶ月目:会計学・原価計算の追加 + 全範囲復習

4〜6ヶ月目は、会計学(連結会計・税効果・退職給付など)と原価計算(標準原価計算・直接原価計算)を追加し、同時に1〜3ヶ月目の範囲を復習します。

ここが一番きついフェーズです。新しい論点を入れながら、既習論点を維持しないといけません。

復習は「論点別の演習問題を解く」形で行います。「読み直すだけ」だと忘れます。手を動かす復習が必須です。

7〜9ヶ月目:過去問演習(10年分×3周)

7ヶ月目から過去問演習に入ります。

直近10年分(20回分)を3周します。1周目は時間無制限で理解優先、2〜3周目は本試験と同じ制限時間で。

過去問で間違えた論点は、必ずテキストの該当章に戻って復習。これを徹底できるかが合否を分けます。

10〜12ヶ月目:本試験想定模試 + 弱点補強

ラスト3ヶ月は、直近5年分(10回分)の過去問を「本番想定模試」として解きながら、見つかった弱点を補強します。

本試験の2週間前は、新しい論点には手を出さず、これまでの復習に絞ります。睡眠時間を確保し、体力を本番に温存することの方が、最後の10時間勉強より価値があります。

4回受験の点数推移と各回で修正した勉強方法

私の4回受験の点数推移と、その都度修正した勉強方法を共有します。失敗パターンの参考にしてください。

1回目(28点):テキスト中心の勉強で失敗

1回目(162回)は、無職期間に1,536時間を投下しました。

勉強方法はテキスト中心。「とおるテキスト」4冊を3周読み込んで、章末問題は8〜9割解ける状態にしました。過去問は3回分だけ。

結果は28点。70点合格ラインに42点足りない大惨敗でした。

原因は明確です。「テキストで理解すること」と「本試験で解けること」の間の壁を、舐めていました。本試験は複合論点で、テキストの章末問題とは別物。過去問演習が圧倒的に足りなかった。

2回目(55点):過去問を始めたが回数不足

2回目(164回)は、過去問を5回分まで増やしました。さらにTACの「合格トレーニング」を1周。

結果は55点。1回目より伸びましたが、合格には全然足りません。

ここで気づいたのは、「過去問5回分では出題パターンの網羅が足りない」こと。本試験で「あ、この問題の解き方知らない」と固まる頻度が、まだ高すぎました。

3回目(68点):過去問は増えたが復習が浅かった

3回目(165回)は、過去問を15回分に倍増。「合格するための過去問題集」を2周しました。

結果は68点。70点まで2点。手応えとしては「もう少しで届く」感覚でしたが、不合格でした。

ここで初めて、「過去問の周回数」だけでは伸びないことに気づきました。問題を解いて、答え合わせをして、次に進む。これを繰り返すだけだと、間違えた論点はずっと間違えたままです。

4回目(70点):過去問×テキスト往復で合格

4回目(167回)は、勉強方法を根本から変えました。

変更点は3つ:

1. 過去問を30回分以上に拡大(直近20回分 + 古い過去問10回分)

2. 間違えた論点は、必ずテキストの該当章に戻って復習し、もう一度同じ問題を解き直す

3. 直近5年分は「本番想定模試」として最後の1ヶ月に残す

結果は70点。原価計算の足切りも回避し、ようやく合格圏に届きました。

3回目から4回目で点数を2点伸ばせた最大の理由は、「過去問×テキストの往復」を徹底したこと。これに尽きます。

3回不合格から学んだ「やってはいけない勉強方法」

私が3回連続で落ちた原因を、4つの「やってはいけない勉強方法」として整理します。

テキストを完璧にしようと深掘りしすぎる

1回目の私の失敗です。

テキストを「完璧に理解してから過去問に進もう」と思っていると、永遠にテキストから卒業できません。簿記1級のテキストは膨大で、全論点を完璧に理解するのは不可能です。

正しい順序は、テキストは「6〜7割の理解」で過去問に進むこと。残りの3〜4割は、過去問演習を通じて補完していくものです。

「テキストを完璧にしてから」という発想は、初学者がハマりがちな最大の罠です。

過去問を解いて答え合わせだけで終わる

2回目・3回目の私の失敗です。

過去問を解いて、答え合わせをして、点数を出して、「次の回に進もう」と思ってしまう。これだと、間違えた論点は次の回でも間違えます。

正しい順序は、過去問を解いたら、間違えた問題は必ずテキストの該当章に戻り、論点の本質を再確認してから、もう一度同じ問題を解き直すこと。

この往復をやるかやらないかで、点数の伸びが全く違います。

苦手論点から逃げて得意論点ばかり回す

人間の本能として、得意な論点は楽しいので、ついそっちばかり演習してしまいます。

でも、簿記1級は足切り制度があるので、苦手論点を1つでも作ると、本試験で足切りされて不合格になります。

正しい順序は、苦手論点を「気乗りしなくても優先的に演習する」こと。私は3回目の本試験で原価計算の足切りを喰らって、これを痛感しました。

毎週の勉強計画に「苦手論点1時間」を必ず入れる。これが合格者の習慣です。

「次の試験で受かるはず」と根拠なく信じる

これは私自身の3回目までの失敗です。

「今回は無理だったけど、次は受かるはず」と、根拠なく次回に期待する。でも、勉強方法を変えなければ、次の試験でも同じ点数で落ちます。

正しい順序は、不合格になったら必ず「何が足りなかったのか」を冷静に分析し、次回までに勉強方法を変えること。

私が4回目で合格できたのは、3回目の不合格後に「勉強方法を全部見直す」と決めて、過去問×テキストの往復を徹底したからです。

長期戦を乗り切るマインド3つ

勉強方法と同じくらい大事なのが、長期戦を乗り切るマインドです。私が4年間続けられた3つの考え方を共有します。

「数回受験するもの」と最初から覚悟する

簿記1級の合格率は10%前後。初受験で受かる人は1割もいません。

「自分は1回で受かる」と思って始めると、不合格になった瞬間にメンタルが折れます。

逆に、「2〜3回受験するものだ」と最初から覚悟していれば、1回目の不合格は「予定通りの通過点」になります。

私は1回目の受験前から「初回は受かるとは限らない」と思っていましたが、それでも28点という点数には絶望しました。覚悟は何回しすぎても無駄になりません。

点数を「自分の弱点の地図」として読む

不合格になったとき、点数を「自分の能力の値」として受け取ると、人格否定に近いダメージを受けます。

そうではなく、点数を「自分の弱点がどこにあるかを示す地図」として読むこと。

「商業簿記22点・会計学18点・工業簿記10点・原価計算8点」というのは、「原価計算が足りていない」「会計学も微妙」と教えてくれる貴重な情報です。次回までに何を優先するか、点数が教えてくれます。

合格者のSNSを見すぎない

簿記1級の試験後、TwitterやXで「1回で合格しました」「3ヶ月で受かりました」という投稿が流れてきます。

これを真に受けると、自分が劣っているような気持ちになります。

でも、その人たちはほとんどが「会計士・税理士受験生」か「大学で会計を専攻していた人」です。あなたと前提条件が違います。

合格者のSNSは、勉強法の参考に使う以外は、見すぎないこと。比較する相手は、過去の自分だけで十分です。

まとめ:勉強方法を確立できた人が合格する

4年・3,168時間・4回受験を経て、私が思う「簿記1級の勉強方法の核心」を最後にまとめます。

・テキストは「6〜7割の理解」で過去問に進む(完璧主義をやめる)

・過去問演習量は「10年分×3周」が最低ライン、できれば30回分以上

・過去問×テキストの往復が、合格水準への一番の近道

・苦手論点を「気乗りしなくても優先的に」演習する

・直近5年分は本番想定模試として最後の1ヶ月に残す

・不合格になったら勉強方法を根本から見直す(同じ方法では次も落ちる)

・「数回受験するもの」と最初から覚悟する

そして、何より大事な1点:

「自分専用の勉強方法を確立できた人」が合格します。

合格者の勉強方法をそのままコピーしても、自分の前提条件(既習範囲・勉強時間・性格)が違えば、同じ結果は出ません。

合格者のやり方をベースに、自分の弱点・生活リズム・性格に合わせてカスタマイズする。これを4回の受験で繰り返した結果、私は4回目で合格できました。

「勉強方法を確立できた人が合格する」というのは、「他人の方法を真似する」ではなく、「自分の方法を磨き上げる」という意味です。

これから簿記1級に挑む方が、私のように3回も無駄に落ちることなく、自分専用の勉強方法を最短で確立できることを願っています。

一緒に合格を勝ち取りましょう。

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この記事を書いた人

低偏差値高校卒業し、社会に出て『発達障害』と診断される。
人生逆転させるため心機一転、日商簿記検定に挑戦するが、簿記3級に4回落ちて絶望。
諦めず挑戦した結果、簿記の最高峰の『日商簿記1級』と『全経簿記上級』に合格する。

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