引当金とは?貸倒引当金など種類と計上ルールを簿記1級保有者が解説

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「引当金って、まだ払っていないのに費用にしていいの?」「貸倒引当金とか退職給付引当金とか、種類が多くて混乱する」——そんな方へ。

引当金とは、将来の費用や損失に備えて、当期にあらかじめ計上しておく見積りの金額 のこと。簿記1級保有者の私が、引当金の意味・計上のルール(4要件)・主な種類・計算例を、わかりやすく解説します。決算書を正しく読むうえで欠かせない考え方です。

この記事の結論
  • 引当金=将来の費用・損失に、今から備えて計上 する見積額
  • 目的は「費用と収益を対応させる」「リスクを早めに反映する」
  • 計上には 4つの要件 をすべて満たす必要がある
  • 貸倒・賞与・退職給付など種類が多い
引当金を計上する4つの要件の図。①将来の特定の費用・損失である②原因が当期以前の出来事にある③発生の可能性が高い④金額を合理的に見積もれる。4つすべてを満たすときだけ計上でき、1つでも欠けると計上できない
目次

引当金とは?(将来の支出に今から備える)

引当金とは、将来発生する可能性が高い費用や損失について、その原因が当期にあるなら、当期のうちに見積もって費用計上しておくものです。

たとえば、売掛金の一部は将来回収できず貸し倒れるかもしれません。その見込み額を、実際に貸し倒れる前に 当期の費用として先に計上 しておく——これが貸倒引当金です。

ぶんぶん

『将来かかりそうな費用を、原因が起きた今のうちに見積もって計上しておく』のが引当金。まだ払っていなくても、原因が当期にあるなら今の費用にする、という考え方だよ。

なぜ引当金を計上するのか

引当金を計上する理由は、主に2つです。

  • 費用と収益を対応させる:当期の売上に関係する将来の費用を、当期に計上する
  • リスクを早めに反映する:悪い情報は早めに決算に反映する(保守的に見る)

引当金がないと、将来の費用が突然どこかの期にまとめて出てきて、利益がデコボコになります。引当金は、それを防いで決算を実態に近づけます。

引当金を計上する4つの要件

引当金は、何でも好きに計上できるわけではありません。次の4つを“すべて”満たしたときだけ計上します。

  • 将来の特定の費用または損失であること
  • その発生が、当期以前の出来事に原因があること
  • 発生の 可能性が高い こと
  • 金額を 合理的に見積もれる こと

逆に言えば、発生の可能性が低かったり、金額が見積もれなかったりするものは、引当金として計上できません。

引当金の主な種類

引当金にはいろいろな種類があります。代表的なものを整理します。

引当金備える将来の支出区分
貸倒引当金売掛金などの貸し倒れ評価性(資産のマイナス)
賞与引当金翌期に支払う賞与負債性
退職給付引当金従業員の退職金負債性
修繕引当金将来の大規模修繕負債性
製品保証引当金保証期間中の無償修理負債性
引当金の主な種類(貸倒引当金だけは資産のマイナスとして表示する評価性引当金)

ポイントは、貸倒引当金だけは少し特別 なこと。貸倒引当金は「売掛金などの資産がどれだけ減りそうか」を表すので、負債ではなく 資産のマイナス(評価性引当金) として表示します。それ以外の多くは、負債として計上されます。

【具体例】貸倒引当金の計算

いちばん基本的な貸倒引当金を、数字で計算してみましょう。

STEP

貸し倒れそうな債権を確認する

期末の売掛金が1,000万円あるとします。これが貸し倒れの対象です。

STEP

貸倒実績率をかける

過去の実績から、貸倒実績率を2%とします。1,000万円 × 2% = 20万円。これが貸し倒れの見込み額です。

STEP

引当金として計上する

仕訳は(借)貸倒引当金繰入 20万円 /(貸)貸倒引当金 20万円。費用(繰入)を計上し、同額の引当金を設定します。

こうして、実際に貸し倒れる前に、見込み額を当期の費用として反映しておきます。

引当金と税効果会計の関係

引当金を理解すると、つながって見えてくるのが税効果会計です。

引当金(たとえば賞与引当金や貸倒引当金)は、会計上は当期の費用になりますが、税務上は 実際に支払う・確定するまで損金として認められない ことがあります。すると会計と税務にズレ(一時差異)が生まれ、税効果会計の出番になります。

※この記事は会計の基礎的な解説です。実際の会計処理や見積りは、状況や適用基準によって異なります。

よくある質問(FAQ)

引当金とは一言でいうと何ですか?

将来発生しそうな費用や損失について、その原因が当期にあるなら、当期のうちに見積もって計上しておく金額です。費用と収益を対応させ、リスクを早めに決算へ反映するために使います。

引当金はどんなときに計上できますか?

4つの要件をすべて満たすときです。①将来の特定の費用・損失 ②原因が当期以前にある ③発生の可能性が高い ④金額を合理的に見積もれる、の4つです。1つでも欠けると計上できません。

貸倒引当金は負債ですか?

貸倒引当金は「評価性引当金」で、負債ではなく資産(売掛金など)のマイナスとして表示します。一方、賞与引当金や退職給付引当金などは負債として計上される「負債性引当金」です。

引当金と未払金はどう違いますか?

未払金は、金額や支払先が確定している“もう決まった債務”です。引当金は、将来発生しそうな費用を見積もったもので、金額や時期がまだ確定していない点が違います。

引当金は税金の計算でも費用になりますか?

必ずしもなりません。会計上は費用でも、税務上は実際に支払う・確定するまで損金と認められないことがあります。このズレ(一時差異)を調整するのが税効果会計です。

まとめ:引当金は「将来の支出に今から備える見積り」

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 引当金=将来の費用・損失に、当期から備えて計上する見積額
  • 計上には4つの要件をすべて満たす必要がある
  • 貸倒・賞与・退職給付・修繕など種類が多い
  • 貸倒引当金だけは資産のマイナス(評価性)
  • 税効果会計とつながる論点でもある

引当金は「将来に備える会計」の代表です。意味と4要件がわかると、貸借対照表に並ぶいろいろな引当金が、何のために計上されているのか読み解けるようになります。

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この記事を書いた人

偏差値40の高卒。社会に出てから発達障害と診断され、人生を変えようと簿記に挑戦するも、3級で4回不合格と挫折続き。それでも諦めずコツコツ続けた結果、簿記の最高峰・日商簿記1級(4回目で合格)と全経簿記上級に合格。2026年6月には証券アナリスト(CMA)第1次試験にも一発合格しました。

「低偏差値でも、コツコツ続ければ受かる」を信条に、簿記1級・証券アナリスト・財務分析の勉強法と合格体験を、このブログとKindle書籍で発信しています。

資格:日商簿記1級/全経簿記上級/証券アナリスト(CMA)第1次レベル試験 合格(2026年6月)

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