貸借対照表(BS)の読み方とは?資産・負債・純資産の見方を簿記1級保有者が解説

「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)って、どこをどう見ればいいの?」「数字が並んでいるだけで意味が分からない」——そんな方へ。

簿記1級と証券アナリスト(1次)で財務分析を学んだ私が、貸借対照表(BS)の読み方を、できるだけやさしく解説します。BSが読めると、その会社が「どれくらい借金に頼っているか」「すぐ倒れない体力があるか」を、数字から読み取れるようになります。

この記事の結論
  • 貸借対照表(BS)は「ある時点の財産の状態」を表す表
  • 左=資産(お金の使い道)、右=負債・純資産(お金の集め方)で、左右が必ず一致する
  • まず見るのは純資産。返さなくていいお金が多いほど、安定した会社
貸借対照表(BS)の基本構造の図。左の資産の部(流動資産200・固定資産300)と、右の負債・純資産の部(流動負債120・固定負債130・純資産250)が、ともに合計500で左右が一致することを示す
目次

貸借対照表(BS)とは?

貸借対照表(BS:Balance Sheet)は、決算日などのある一時点で、会社が「何を持っていて(資産)」「いくら借りていて(負債)」「自前のお金がいくらあるか(純資産)」を一覧にした財務諸表です。損益計算書(PL)・キャッシュフロー計算書(CF)と並ぶ「財務三表」の一つです。

ポイントは、BSは ある「時点」のスナップショット だということ。1年間のもうけを表す損益計算書(フロー)に対して、BSは「今この瞬間の財産の状態(ストック)」を写した写真のようなものです。

ぶんぶん

家計でたとえると、BSは『今、貯金がいくらで、ローンがいくら残ってるか』の一覧表。会社版の財産目録だと思えばOKだよ。

貸借対照表は「左右が必ず一致する」(なぜバランスシート?)

BSは大きく3つの部に分かれます。まずこの全体像を押さえましょう。

3つの部表の場所意味(ざっくり)
資産の部左側(借方)集めたお金の使い道(現金・建物・商品・売掛金など)
負債の部右側・上(貸方)返さないといけないお金(借入金・買掛金など)
純資産の部右側・下(貸方)返さなくていいお金(資本金・ため込んだ利益)
貸借対照表の3つの部。「資産=負債+純資産」で左右が必ず釣り合う

英語で Balance Sheet(バランスシート)と呼ばれるのは、左側の合計と右側の合計が必ず一致する(バランスする) からです。右側の「お金をどう集めたか(負債+純資産)」と、左側の「その集めたお金を何に使ったか(資産)」は、同じお金を別の角度から見ているだけ。だから合計は必ず同じになります。

この関係を式にすると「資産=負債+純資産」。すべての出発点になる超基本の式なので、これだけは覚えておきましょう。

① 資産の部の見方(流動資産・固定資産)

資産の部は、集めたお金を「何に使っているか」を表します。ここは、現金化しやすいものから順に「流動資産 → 固定資産」と並んでいます。

分類現金化のしやすさ具体例
流動資産1年以内に現金化しやすい現金・預金、売掛金、受取手形、棚卸資産(在庫)
固定資産長く使う・現金化しにくい建物・土地・機械(有形)、のれん・特許(無形)、投資有価証券
資産の部は「流動資産 → 固定資産」の順(上から現金化しやすい順に並ぶ)

流動資産 は、現金や、もうすぐ現金になるもの(売掛金・在庫など)。固定資産 は、建物や機械のように長く使い続けるものです。お金がすぐ用意できるか(流動資産が多いか)は、後で出てくる「短期の支払い能力」を読むときに効いてきます。

流動・固定の分け方には「1年以内に現金化/返済するか(1年基準)」というルールがあります。ざっくり『1年以内=流動、それより先=固定』と覚えておけば十分です。

② 負債の部の見方(流動負債・固定負債)

負債の部は、いずれ返さないといけないお金です。資産と同じように、返済が早いものから「流動負債 → 固定負債」の順に並びます。

分類返済の期限具体例
流動負債1年以内に返す買掛金・支払手形、短期借入金
固定負債1年を超えて返す長期借入金、社債
負債の部も「流動負債 → 固定負債」の順(返済が早いものから並ぶ)

負債そのものは悪ではありません。借入で設備を買い、それ以上に稼げれば、借金はむしろ成長の道具です。ただし、すぐ返すべき流動負債が大きすぎると、資金繰りが苦しくなります。負債は「金額」と「返済の早さ」をセットで見るのがコツです。

受験生

負債が多い会社=ダメな会社、ってわけじゃないんですね。

ぶんぶん

そうそう。大事なのは『返せる範囲か』。借金の額だけ見て怖がらず、純資産とのバランスで判断しよう。

③ 純資産の部の見方(返さなくていいお金)

純資産の部は、返さなくていい自前のお金です。中心になるのは次の2つです。

資本金・資本剰余金:株主が出資してくれたお金。利益剰余金:これまでの利益のうち、配当などで出さずに会社にため込んだぶん。

純資産が厚い会社は、借金に頼らず自分の力で資産をまかなえている=倒れにくい、と読めます。とくに利益剰余金が積み上がっているほど、長く黒字を続けてきた証拠になります。BSを見るとき、私はまずこの純資産の大きさを確認します。

貸借対照表から分かること(自己資本比率・流動比率)

3つの部の意味が分かったら、簡単な割り算で会社の安全性が読めます。代表的なのが次の2つです。

指標計算式見方の目安
自己資本比率純資産 ÷ 資産合計高いほど借金に頼らず安定。40%以上が一つの目安
流動比率流動資産 ÷ 流動負債短期の支払い能力。200%あれば安心、最低でも100%は欲しい
貸借対照表からすぐ計算できる代表的な指標(目安は業種により変わります)

どちらもBSの数字だけで計算できます。自己資本比率 は「会社の体力」、流動比率 は「短期の支払いに困らないか」を表します。この2つの比率を含む安全性の詳しい読み方は、別記事でまとめています。

なお、資産をどれだけ効率よく使って利益を出しているか(ROA=総資産利益率など)は「収益性」の話で、こちらは 収益性分析 の記事で解説しています。

【具体例】簡単な貸借対照表を読んでみる

数字で読み方を体感してみましょう。資産合計が同じ500の2社を比べます(単位は省略)。

項目A社(健全)B社(危険)
流動資産20080
固定資産300420
資産合計500500
流動負債100200
固定負債100250
純資産30050
同じ資産合計500の2社(数字は説明用の例)

A社 は純資産が300。自己資本比率は 300 ÷ 500 = 60% で、借金に頼らない安定型です。流動比率も 200 ÷ 100 = 200% で、短期の支払いにも余裕があります。

一方の B社 は、資産合計はA社と同じ500でも中身が違います。純資産はわずか50で、自己資本比率は 50 ÷ 500 = 10%。ほとんどを借金でまかなっています。流動比率も 80 ÷ 200 = 40% しかなく、1年以内に返すお金(200)に対して、すぐ用意できるお金(80)が足りません。資金繰りが苦しい危険なサインです。

このように、資産合計(会社の規模)が同じでも、中身=お金の集め方しだいで安全性はまるで違います。BSは「規模」ではなく「中身のバランス」を読むのがコツです。

損益計算書・キャッシュフロー計算書とのつながり

BSは単独でも読めますが、財務三表はつながっています。

純資産の「利益剰余金」は、損益計算書(PL) の当期純利益がたまったもの。資産の「現金・預金」は、キャッシュフロー計算書(CF) で計算した1年間の現金の増減の結果とつながります。つまり、PLで稼いだ利益とCFで動いた現金が、最後にBSへ流れ込むイメージです。

3つをあわせて読めると、決算書を立体的に理解できます。現金の流れを追うCFの読み方は、別記事で解説しています。

よくある質問(FAQ)

貸借対照表とは何ですか?簡単に言うと?

ある時点で会社が「何を持っていて(資産)」「いくら借りていて(負債)」「自前のお金がいくらあるか(純資産)」を一覧にした表です。会社の財産目録のようなものです。

貸借対照表の左右はなぜ必ず一致するのですか?

右側は「お金の集め方(負債+純資産)」、左側は「その使い道(資産)」を表します。同じお金を別の角度から見ているだけなので、合計は必ず一致します。

貸借対照表でまず見るべきポイントは?

純資産の大きさと、自己資本比率(純資産÷資産合計)です。高いほど借金に頼らない安定経営。あわせて流動比率で短期の支払い能力も確認すると安心です。

損益計算書と貸借対照表の違いは?

損益計算書(PL)は1年間の「もうけ(フロー)」、貸借対照表(BS)はある時点の「財産の状態(ストック)」を表します。期間を見るか、時点を見るかが大きな違いです。

貸借対照表は簿記何級で学びますか?

3級から基礎を学びます。1級になると、連結や純資産の細かい項目まで深く扱います。読むだけなら3級レベルの理解でも十分始められます。

まとめ:貸借対照表は「会社の体力」を映す写真

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 貸借対照表(BS)は「ある時点の財産の状態」を表す
  • 左=資産(お金の使い道)、右=負債・純資産(お金の集め方)で必ず一致する
  • 資産・負債は「流動 → 固定」の順。1年以内かどうかで分ける
  • 純資産は返さなくていいお金=会社の本当の体力
  • 自己資本比率・流動比率で安全性が読める(深掘りは安全性分析へ)

貸借対照表は、その会社が「無理をしていないか」をひと目で映す写真のようなものです。読めるようになると、決算書を見る目が一段としっかりします。

※この記事は特定の銘柄や投資をすすめるものではありません。あくまで「自分で決算書を読む力」を養うための解説です。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

偏差値40の高卒。社会に出てから発達障害と診断され、人生を変えようと簿記に挑戦するも、3級で4回不合格と挫折続き。それでも諦めずコツコツ続けた結果、簿記の最高峰・日商簿記1級(4回目で合格)と全経簿記上級に合格。2026年6月には証券アナリスト(CMA)第1次試験にも一発合格しました。

「低偏差値でも、コツコツ続ければ受かる」を信条に、簿記1級・証券アナリスト・財務分析の勉強法と合格体験を、このブログとKindle書籍で発信しています。

資格:日商簿記1級/全経簿記上級/証券アナリスト(CMA)第1次レベル試験 合格(2026年6月)

【簿記学習に困ったら個別相談もOK】

簿記1級・2級・3級の質問・学習相談を、ココナラで受付中です。
★5.0/5件の評価で、初回返答1時間以内。
「テキストのこの部分が分からない」「自分の勉強計画は合ってる?」など、お気軽にご相談ください。

▶ ココナラで相談する

【ブログでは書ききれない実体験はKindle本にまとめました】

『日商簿記1級合格体験記』(Kindle)
3回不合格の心境、4回目で合格するまでのリアルな葛藤まで、ブログでは書ききれなかった内容を1冊にしています。

▶ Amazonで読む

【他のSNS・発信はこちら】

X(旧Twitter)、ブログ、他のKindle本、ココナラ全サービスを
lit.linkにまとめてあります。

▶ ぶんぶんの全リンクを見る

目次