「簿記1級、何度受けても受からない…」そう感じて、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。模試ではそこそこ取れるのに本番でダメ、努力しているのに結果が出ない。正直、心が折れそうになりますよね。
私自身、日商簿記1級には3回連続で落ちました。点数は28点→55点→68点と少しずつ伸びて、4回目でようやく70点で合格。偏差値40の高卒で、もともと勉強が得意だったわけでもありません。
この記事では、「なぜ受からないのか」という原因と、「落ちたあとにどう立て直すか」というメンタル面、そして私が4回目で合格するために実際に変えたことを、体験ベースでお話しします。今つらい人ほど、読み終わるころには「もう少し続けてみよう」と思えるはずです。
簿記1級に受からないのは、あなたの能力のせいではない
まず最初にお伝えしたいのは、「受からない=あなたの頭が悪い」では決してない、ということです。
そもそも簿記1級は「9割が落ちる」試験
日商簿記1級の合格率は、回によって違いますが、おおむね10%前後です。つまり、受験者の約9割が落ちる試験。ちょっと勉強したくらいでは歯が立たない、れっきとした難関資格だということです。
しかも簿記1級は相対試験に近い性質があり、戦う相手の中には公認会計士や税理士を目指す受験生も混ざっています。人生をかけて1日中勉強しているような人たちと、同じ土俵で点数を競っているわけです。「なかなか受からない」のは、ある意味で当たり前。まずはこの前提を知っておくだけで、必要以上に自分を責めなくて済みます。
私も3回連続で落ちました(28→55→68点の推移)
偉そうに書いていますが、私も最初からできたわけではありません。
- 1回目(162回):28点
- 2回目(164回):55点
- 3回目(165回):68点
- 4回目(167回):70点でようやく合格
1回目なんて28点です。合格ラインの70点には、まったく届いていません。それでも、回を重ねるごとに点数は着実に伸びていきました。受からない時期というのは、点数が伸びていないように感じても、実は地力が育っている途中なのです。
「あと2点」で落ちた回がいちばん辛かった
一番こたえたのは、3回目の68点でした。70点まで、たったの2点。手応えもそれなりにあった回だったので、合格発表で番号がなかったときは、さすがに精神的に参りました。「また不合格か…」と、その日は何もやる気が起きず、一日中ぼーっとしていたのを覚えています。
でも今振り返ると、この「あと2点」の悔しさがあったからこそ、4回目に向けて本気でやり方を見直せました。受からない経験そのものが、合格への材料になっていたんです。
簿記1級に受からない人によくある5つの原因
ここからは、私自身の失敗と、これまで簿記の学習相談に乗ってきた経験から、「受からない人」に共通しがちな原因を5つにまとめます。当てはまるものがあれば、そこが伸びしろです。
① 空き時間に勉強しない(落ちる人の最大の特徴)
身もふたもないのですが、落ちる人の最大の特徴は「空き時間があっても勉強しない」ことです。
通勤中、昼休み、寝る前の10分。こうした細切れの時間に、ライバルは少しずつ力をつけています。スマホで動画を見ている時間に、向こうは仕訳を1問解いている。相対試験である以上、この積み重ねの差が、そのまま順位の差になります。
② 過去問の演習量が足りない
簿記1級は、テキストを理解しただけでは絶対に解けません。テキストと本番の問題には、大きな隔たりがあります。私も一通り講義を見終えて過去問に取りかかったとき、あまりの落差に挫折しそうになりました。
この溝を埋めるのは、過去問の反復しかありません。私は最終的に、工業簿記・原価計算は過去問を35回分、商業簿記・会計学は14回分くらい回しました。「過去問を1〜2回解いて終わり」では、まったく量が足りないのです。
③ インプット偏重でアウトプットが薄い
「テキストを読む」「講義を見る」だけで勉強した気になってしまうのも、受からない人にありがちです。知識は、手を動かして問題を解いて、間違えて、解き直して、ようやく使える形になります。インプット3割・アウトプット7割くらいの意識でちょうどいいです。
④ 苦手科目(工業簿記・原価計算など)を放置している
簿記1級は、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目で、1科目でも40%未満だと足切りで不合格になります。得意科目で点を稼いでも、苦手科目を捨てると一発アウトです。
「工業簿記が苦手だから後回し」を続けると、合計点は届いているのに足切りで落ちる、という事故が起きます。苦手科目こそ早めに過去問を回して、最低ラインを割らない状態に持っていく必要があります。
⑤ 「努力の基準」が合格者とずれている
これは少し厳しい話かもしれません。何度も受からないときは、「努力の量」そのものを疑ってみる必要があります。
私が2回目に落ちたとき、「人生をかけて勉強している会計士や税理士の受験生に負けないくらい勉強しないと、絶対に受からない」と痛感しました。自分では頑張っているつもりでも、合格者の基準から見るとまだ足りていない、ということは普通にあります。私の場合、合格までに累計3,168時間を費やしました。
落ちて心が折れそうなときの、メンタルの立て直し方
原因がわかっても、落ちた直後は前を向けないものです。ここでは、私が長い受験期間を乗り切るために実際にやっていた、メンタルの保ち方を紹介します。
最初から「不合格になる覚悟」を持っておく
9割が落ちる試験で、一発合格できる人はごくわずかです。だからこそ、「一度で受かろう」と気負いすぎないことが大事です。
私は4回目で受かりましたが、もし落ちていたら5回でも6回でも受けるつもりでした。「不合格になる覚悟」を最初から持っておくと、実際に落ちたときのダメージが小さくなり、すぐに次へ切り替えられます。
メンタルは削られる前提でケアする
受験期間が長くなるほど、メンタルは確実に削られます。周りから否定的な言葉をかけられることもあれば、「いつ受かるんだろう」という不安に襲われる夜もあります。
大事なのは、「メンタルは削られて当たり前」と最初から織り込んでおくこと。そう考えておけば、落ち込んだときに「自分はダメだ」と自分を追い打ちで責めずに済みます。
受験を始めたきっかけを思い出す
モチベーションが切れそうなときは、「なぜ自分は簿記1級を目指したのか」という原点に戻るのが効果的です。
私の場合は、正直に言うと「過去に自分をバカにしてきた人を見返したい」という気持ちが原動力でした。承認欲求でも、昇進でも、年収アップでも、理由は何でもかまいません。きれいごとでなくていいので、自分を動かしてくれる原点を思い出してみてください。
ちなみに、長期戦ではモチベーションそのものに頼らないことも大切です。「毎日決まった時間に机に向かう」を習慣にしてしまえば、やる気の有無に関係なく勉強が続きます。
私が4回目で合格するために変えた3つのこと
では、3回落ちた私が、4回目で具体的に何を変えたのか。再現性のある部分を3つに絞ってお話しします。
過去問を「回す」量を一気に増やした
一番大きかったのは、過去問の演習量を一気に増やしたことです。特に苦手だった工業簿記・原価計算は、過去問を35回分まで回しました。
ポイントは「解いて終わり」にしないこと。間違えた問題は、なぜ間違えたのかをノートに書き出し、解き直す。これを繰り返すうちに、本番でも手が勝手に動くようになっていきました。
理論を深掘りする教材を足した
点数が68点まで来た3回目以降は、それまでの問題演習だけでは突破できない壁を感じました。そこで、会計学や原価計算の「理論」を深掘りできる教材を追加しました。
なぜその処理をするのか、という背景まで理解しておくと、初見の応用問題にも対応できるようになります。これが、最後の2点を埋める力になりました。
通信講座で土台を作り、後半は自分で詰めた
私は最初の1年を通信講座(ネットスクール)で学び、基礎の土台をしっかり作りました。質問サポートやテキスト・講義をフル活用できたので、独学でつまずきがちな最初の山を越えられたのは大きかったです。
その後の1年半は、その土台の上に、市販の問題集や過去問を足して自分で詰めていきました。「土台は人に頼り、仕上げは自分でやる」。この順番が、私には合っていたと思います。
受験を続けるか迷ったときの考え方
何度も落ちると、「自分には向いていないのかも」「もうやめたほうがいいのかな」と迷うこともあると思います。最後に、その判断についても正直にお話しします。
続ける判断・休む判断の見極め方
私は基本的に「受かるまで続ける」派ですが、無理に勉強を続けて心や体を壊すくらいなら、一度休むのも立派な選択です。
ひとつの目安は、「点数が伸びているかどうか」。少しずつでも点数が上がっているなら、やり方は間違っていません。あとは量と時間の問題なので、続ける価値は十分にあります。逆に、まったく伸びていないなら、勉強法そのものを見直すサインです。
簿記1級の勉強は2級・全経・実務にムダなく活きる
仮にすぐ合格できなかったとしても、簿記1級で積み上げた知識がムダになることはありません。
実際、簿記1級の学習範囲は、全経簿記上級とほとんど重なります。私は日商1級の少し前に全経簿記上級にも合格できましたが、これは1級対策の延長で取れたようなものです。会計の深い理解は、その後の実務やキャリアでも確実に役立ちます。「受からない期間」は、決して空白ではないのです。
まとめ:受からない時期こそ「コツコツが勝つコツ」
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 簿記1級は9割が落ちる難関試験。受からないのはあなたの能力のせいではない
- 受からない原因は「空き時間に勉強しない」「過去問不足」「アウトプット不足」「苦手科目の放置」「努力の基準のズレ」
- 落ちたら「不合格になる覚悟」とメンタルケアで立て直す。原点を思い出す
- 私は28→55→68→70点と、3回落ちて4回目で合格できた。変えたのは過去問の量・理論の深掘り・学習の順番
- 点数が伸びているなら、続ける価値は十分にある
偏差値40・高卒の私でも、3回落ちながら最後は合格までたどり着けました。特別な才能は必要ありません。必要なのは、正しいやり方で、地道に続けること。まさに「コツコツが勝つコツ」です。
今つらい時期にいるあなたも、きっと大丈夫。一緒に、もう一歩だけ進んでみましょう。
ぶんぶんここまで読んでくれてありがとう。勉強法と4回受験の体験を一冊にまとめたKindle本も出してるよ(『日商簿記1級勉強法【改訂版】』)。低偏差値・発達障害の僕が4回目で受かるまでの全部を書いたから、よかったら合間にどうぞ。












